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「大事です、大事ですね。大事なんですけど…うーん」永瀬拓矢は藤井聡太に敗戦後、言葉に詰まった「全力でぶつかれば結果は度外視でも」発言の真意
posted2026/04/12 06:03
藤井聡太王将相手の番勝負勝利は再びお預けとなったが、永瀬拓矢九段の将棋に対する信念は揺らぐことはないはず
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大川慎太郎Shintaro Okawa
photograph by
Shintaro Okawa
第75期ALSOK杯王将戦は藤井聡太王将(23歳)がフルセットの末、4勝3敗で挑戦者の永瀬拓矢九段(33歳)に勝利して5連覇を果たした。その対局直後、永瀬が旧知の記者に語った真相とは。〈NumberWebインタビュー/全4回。棋士の肩書・段位は初出以外省略〉
思い出す「角換わりは真剣、他の戦型は木刀」発言
王将戦第7局が決着した夜、東京行の新幹線車内での永瀬拓矢九段への取材は、終盤に差し掛かっていた。
藤井は3日後に棋王戦第5局で、挑戦者の増田康宏八段を迎え撃つ。こちらもフルセットの大勝負だ。棋王戦でも藤井は第3局終了時にカド番に追い込まれていた。王将戦と並行して行われていた棋王戦を、永瀬は参考にすることはあったのだろうか。
「参考にならないですよ。指す将棋が違うというか、増田さんは基本的に50対50を目指しているので。私とは方向性が違うんです」
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増田の将棋は、序盤はイーブンの分かれを目指して、中・終盤で勝負を懸けるということだろうか。
では永瀬は何を目指しているのか。序盤でリードを奪うことだろうか。
「違いますね。私と藤井さんはお互いに角換わりを採用することが多いのですが、戦型が特異すぎるんです。100ゼロになりやすいんですよ」
以前話題になった、永瀬の「角換わりは真剣、他の戦型は木刀」という発言を思い出した。斬って勝つか、斬られて倒れるか。そういう振れ幅の極端に大きな戦型は、当然リスクも大きい。
「自分が後手の時は避ければいいんですけど、別にそうしようとは思いませんでした。避けるメリットもよくわからなかったですし。まあ結果を度外視すれば、別に受けてもいいかな、と」
全力でぶつかることができれば、結果は度外視でも
ええっ?
私は思わず「結果を度外視したんですか?」と直球で訊いてしまった。

