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第4期マクラーレン・ホンダ時代の悪夢再び…F1開幕戦惨敗のアストンマーティン・ホンダは不調の要因“振動問題”を解決できるのか
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尾張正博Masahiro Owari
photograph byHONDA
posted2026/03/12 17:03
アロンソは1周目で10番手に浮上するものの、その後順位を落とし、21周でリタイアした
さらに、23年に復帰を発表した際、コストキャップもPUマニュファクチャラーに導入された。つまり、ライバルチームは21年から22年にかけて継続的に開発を進めていただけでなく、予算上限の制約なしに準備を整えることができた。その不利な状況によって、残念ながらホンダは挽回に苦戦している」
この言葉を聞いたホンダの関係者は「一部、事実であるものの、それについてはここで否定するつもりはない」と一歩引いた。
なぜなら、過去を振り返って事実の真偽を確認しても、目の前の振動問題の解決にはならないからだ。
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じつは今回の振動問題はエンジンと車体のブレだけでなく、ホンダとアストンマーティンの2つの組織にある隙間も一因に挙げられている。
通常、F1チームは約1000人の大所帯となる。HRCはF1活動の規模を明らかにしていないが、第4期と同じであればそれに近い規模のはず。つまり、アストンマーティン・ホンダというのは2つの大企業による一大プロジェクトだ。その2つの組織はイギリスと日本に拠点を構えており、何よりもコミュニケーションが大切になるのだが、冒頭のニューウェイのコメントを聞く限り、開幕前の時点でそれがうまく行っていたとは思えない。
その結果、振動問題を予見することができず、開幕戦では2台そろって完走を果たせないという散々な結果に終わった。
ワンチームを目指して
レース後、渡辺社長はこう語った。
「鈴鹿までに振動対策をしっかりと行い、PUをトラブルなく使うところまで持っていきたい。それに向けてサクラ(HRC Sakura/ホンダF1開発拠点)側がしっかりと仕事するのはもちろんですが、(アストンマーティンのファクトリーがある)シルバーストン側との連携をさらに深めることが大切になってくると思います。そのためにマネージメントを預かるトップとして、組織の強化を図っていきます。PUの性能だけ上げるということではなく、車体と一体となって、どう開発し、どう加速していくか。そのために今週末はニューウェイさんと毎日話し合いましたし、ローレンス(・ストロール/チームオーナー)さんとは毎日ではないですが、金曜日と土曜日にミーティングをしました。ワンチームとなってしっかりやっていきたい」
アストンマーティンによれば、3戦目の日本GPの前後にニューウェイら数人のスタッフがHRC Sakuraを訪れる予定だという。お互い本音をぶつけ合い、強いアストンマーティン・ホンダになることを祈りたい。

