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将棋PRESSBACK NUMBER
藤井聡太23歳“不調説”は真実なのか「うーん、それは何とも…」「永瀬九段はさらに先まで」現役トップ棋士・稲葉陽が間近で見た光景
text by

大川慎太郎Shintaro Okawa
photograph byKeiji Ishikawa
posted2026/03/08 06:01
“二冠失冠”の可能性と不調説が取りざたされている藤井聡太六冠。トップ棋士の見立ては?
「基本的には温度調整と、盤の横に置くものの確認でした。集中して対局することを意識されていて、普段通りの検分だったのかなとは思いますね。対局中、室温を下げてほしいという要望がお二人からありました。室温は20度までしか下げられなかったので、目いっぱい下げて風量を一番強くして対応しました。永瀬九段は最近、対局室にデジタルの温度計を持ち込んでいるので、それを見て『あまり下がっていないようですが』という指摘の仕方をされていました」
――永瀬九段は「温度のエビデンスになるので」と温度計を持ち込んだ理由を語っていました。さて、本局は稲葉八段の予想通りに藤井王将が先手番で角換わりに誘導し、永瀬九段が受けて立ちました。序盤のポイントはどこでしたか?
「桂交換になって後手が6四の歩を突いた52手目までは予定通りだったと局後に永瀬九段は話していました。藤井王将が事前にどこまで知っていたのかはわからないのですが、その時点で藤井王将は2時間以上使われていました。まずは永瀬九段の研究の深さが見えましたよね」
永瀬九段はそこからかなり先まで…
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――そこまで永瀬九段は15分しか使っていませんが、藤井王将は2時間12分を消費しています。そもそも本局の後手の主張は、36手目に6筋の位を取ったことなのでしょうか?
「6二金型で6筋の位を取る将棋は多いのですが、本局の7二金型では珍しい。やはり藤井王将に対しては、あまり研究していなさそうなところを突いていくことが一つのポイントになりますよね。位を取った局面は3局の前例がありましたが、永瀬九段はそこからかなり先まで掘り下げていました」
――後手の主張は?
「激しくなるように見えて、割と駒組みになりやすいんですね。その中でいろいろな待ち方や攻め方を事前に研究したり、手筋などをある程度知っておいたりして戦おうという意図ではないでしょうか」〈つづく〉

