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開幕戦は混乱必至!? 史上最大のレギュレーション変更で変わるF1、“未来志向”の目的とドライバーの反応とは? 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images / Red Bull Content Pool

posted2026/03/06 17:01

開幕戦は混乱必至!? 史上最大のレギュレーション変更で変わるF1、“未来志向”の目的とドライバーの反応とは?<Number Web> photograph by Getty Images / Red Bull Content Pool

ニューマシンでプレシーズンテストを走り込んだフェルスタッペン

 26年のPUは電動の比率が引き上げられた一方、従来のMGU-Hが撤廃されてエネルギー回生はMGU-Kに一本化された。MGU-Kはブレーキングの運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄電し、加速時に電気モーターを駆動させて出力をアシストする。これまで、ES(バッテリー)からMGU-Kに送ることができる最大エネルギーは1周あたり4MJ(メガジュール)に定められていたが、26年からはこれまでの2倍以上となる約8.5MJになった。ただし、これをすべてブレーキングで回生するのは難しい。

 そこで新たに誕生したのが、走行しながら電気を貯めるという「スーパークリッピング走法」だ。通常、アクセルを戻してコーナーリングするところを、ギアをひとつ落としてアクセルを踏み、エンジンの回転数を上げてコーナーリングしながら充電するという走法だ。

 通常のマシンならば、ドライバーはコーナーでラインを定め、少しでも早くアクセルを開け、全開で立ち上がろうとする。それがモータースポーツ観戦の醍醐味でもある。しかし、今季のF1のドライバーは「速く走る」ことだけでなく「どこで電気を稼ぐか」を考えなければならなくなった。これはコーナーリングの常識が変わるかもしれないことを意味する。

フェルスタッペンは歓迎せず

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 プレシーズンテストで新車を走らせたレッドブルのマックス・フェルスタッペンは、新しいレギュレーション下でのF1の印象を次のように評した。

「ステロイドを投与したフォーミュラE」

 明らかに揶揄と受け取れる言葉である。それほどまでにレーシングカーとしてのキャラクターは変わってしまったのだ。

 フェルスタッペンはこう続ける。

「新しいF1を理解し、説明するのは複雑だ。運転していて楽しいかと言われれば、正直違う。でも、まだわからない部分も多いんだ。オーバーテイクもどんな風になるのか見当がつかない。だから、見ている人たちにとっては面白くなるかもしれない」

 新レギュレーションが導入された背景には、環境負荷の低減(脱炭素)、そして将来技術への適合(市販車へのフィードバック)を重視するという未来志向がある。しかし、その理想にルールが追いついていない。おそらく開幕戦は何らかの混乱が生じるだろう。それだけでなく、今シーズンのF1は自分たちが作った新レギュレーションに振り回されるに違いない。それが、未来の理想的なF1を目指すにあたっての産みの苦しみになることを願いたい。

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