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「30分で助走のレールもきれいにできたのに」五輪スキージャンプ“異例の打ち切り”はなぜ起きた? 代表コーチに聞いた本音と「五輪の特殊事情」とは
text by

雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byTsutomu Kishimoto/JMPA
posted2026/03/04 11:25
競技中に降り出した雪の影響で最後は途中打ち切りとなったスキージャンプのスーパーチーム種目。その決断はなぜ行われたのだろうか
丸山に関しても一昨年の世界選手権前に送った「足裏をイメージしてやってみて」という声かけが、その後の彼女の飛躍につながっていった。
「自分は現役のときに映像を見すぎて感覚的なところがおろそかになっていたんです。映像に映っているのはあくまでも結果。順番として、体の感覚を辿ってから映像にいかないといけないのに、それがわかっていなかった。体の感覚を共有するのは難しいですが、日本語にはいろいろなニュアンスの言葉がある。それを使って伝えていくのが大事だなと思っています」
男子代表のアシスタントコーチを経て、女子ヘッドコーチに就任した金城芳樹も、作山のことを「師匠」と呼ぶ。
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上の世代から受け継いだエッセンスを嚙み砕き、現役を含めた下の世代へと受け継いでいく。ジャンプ競技として今回、長野五輪と並んで最多タイのメダル4個を獲得できた背景には、決して選手としては超一流ではなかった作山を中心とした有機的な繋がりがあった。
「自分が指導者に向いていたかはわかりません。でも、やっぱりこの競技が好きで、選手、スタッフと一緒に楽しく回れていることは間違いないですね」
ただし、代表として目指す姿はまだまだ先にある。チームとしての合宿を増やし、技術や道具についての知見を共有する機会を作っていきたいのだという。
「現実的にはまだまだ遠征回るので精いっぱいです。他の国を見てると頻繁に合宿をしていますし、僕らもチームとしての活動の幅をもう少し広げていきたい」
打ち切りは残念だったが…「代表改革」はつづく!
そのために自ら営業にも回り、スタートの合図で振る旗や帽子やネックウォーマーなどのスポンサーを獲得し、代表の活動資金に当ててきた。そうした地道な活動だけでなく、五輪のメダルは活動費や助成金を確保する上でも大きな旗印になる。それだけにスーパーチームの打ち切りは、残念な判断ではあったのだ。
代表のヘッドコーチは公募制で、作山の続投もまだ決まってはいない。しかし、本人に意欲はある。
「スタッフの関係性、選手の関係性もすごくいい形できている。まずはこれを崩さないように。そして、指導者への情報共有もしっかりしながら、4年後に向けてコーチも選手も育てていかないといけないと思っています」
すでにシーズンも再開し、日本代表はW杯を転戦中。フランス・アルプス地方で開催される2030年に向けて、『作山改革』は続いている。

