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「30分で助走のレールもきれいにできたのに」五輪スキージャンプ“異例の打ち切り”はなぜ起きた? 代表コーチに聞いた本音と「五輪の特殊事情」とは 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byTsutomu Kishimoto/JMPA

posted2026/03/04 11:25

「30分で助走のレールもきれいにできたのに」五輪スキージャンプ“異例の打ち切り”はなぜ起きた? 代表コーチに聞いた本音と「五輪の特殊事情」とは<Number Web> photograph by Tsutomu Kishimoto/JMPA

競技中に降り出した雪の影響で最後は途中打ち切りとなったスキージャンプのスーパーチーム種目。その決断はなぜ行われたのだろうか

 トマシアクは「助走路での視界があまり良くなかった。飛び立った時に高さもスピードも出せなくて、距離を伸ばせなかった」とお手上げ状態で、ポーランドはドイツ、スロベニアの下に沈んだ。

 助走速度は時速91.4kmしか出ていなかった。同グループの面々と比べれば3kmほど遅く、同じゲートから出たスロベニアのドメン・プレブツと比べても1km以上遅い。1kmの速度差が距離にして最大5mにもなると言われるスキージャンプで、この差は致命的だ。

 3回目第2グループの状況をまとめるとこうなる。

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国名 ゲート 助走速度 飛距離 ウィンドファクター(追い風は加点、向かい風は減点)

アメリカ  15 94.7m 132.0m +0.4点    
スイス   15 94.6m 134.5m -4.2点
スロベニア 12※92.5m 124.5m -2.3点
ドイツ   13 94.1m 136.0m -7.2点
ポーランド 12 91.4m 124.5m -10.2点

※審判団が14に下げ、さらにコーチリクエストで12に変更

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 助走路は懸命にブロワーがかけられていたとはいえ、氷のレールに雪が付着し、それだけ滑りが悪くなっていた。では、ゲートを上げて速度を上げればいいのかというと、今度は強まる向かい風との最適なバランスを見つけ出すのが難しい。

 同じく吹雪に見舞われた1998年長野五輪では、勇敢なテストジャンパーたちの行動が競技続行を後押ししたが、設備面なども異なる現在ではテストジャンパーを何度も飛ばしてもあまり意味はなかっただろう。そもそもどれだけ公平な条件を探そうとも、トマシアクを極端な悪条件で飛ばしてしまった時点で、すでに公平とは言い難い事態になっている。

 続いてゲートに入ったノルウェーは、すぐに信号が赤に変わってゲートから外れた。その約2分後には打ち切りが決まった。

なぜ「やり直し」にはならなかったのか?

 公平を期するならば、「やり直し」の選択肢はなかったのか。

 昨年2月の女子W杯では、強風のために40人中13人が飛んだ時点でそこまでのジャンプが無効となり、およそ9時間後に全員が飛び直して完遂した事例もある。

 打ち切りの判断から10分後、もう雪はやんでいた。そこから第2グループをやり直す選択肢もあったように思えるが、そこにはオリンピックならではの時間的制約が立ちはだかっていた。

 レースディレクターのサンドロ・ペルティレは、テレビ中継の兼ね合いも判断に影響したと認めている。

【次ページ】 ドイツ人記者は「何とも言えない」と冷静!?

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