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「学校に通ってほしい」「練習は放課後のみ」17歳中井亜美なぜ銅メダルを獲れた?「量より質」フィギュア界で話題のアカデミー〈創設5年で快挙〉 

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph byKoji Aoki/AFLO SPORT

posted2026/02/28 11:02

「学校に通ってほしい」「練習は放課後のみ」17歳中井亜美なぜ銅メダルを獲れた?「量より質」フィギュア界で話題のアカデミー〈創設5年で快挙〉<Number Web> photograph by Koji Aoki/AFLO SPORT

ミラノ五輪フィギュアスケート女子シングルで銅メダルを獲得した中井亜美。中庭健介コーチ(右)がヘッドコーチを務める「MFアカデミー」の1期生だ

 自身は現役時代、4回転ジャンプを跳び国際大会で活躍し、29歳でコーチに。しかしその経験に頼らず、古い指導法を見直せるのも、若き指導者ゆえの利点である。

「現役時代に『こうやってきた』というプライドは捨てました。例えば、僕自身はハーネス(補助具)無しで4回転を跳べたから、当初はハーネス反対派。でも目の前にいる選手たちの立場で考えたときに、怪我を回避できる安全性や、早くから成功感覚をつかめることなどメリットが多い。それで5年前からハーネスを取り入れています」

 ジャンプ指導でも“一般的な”フォームに選手をハメない。そのため渡辺と中井は、違うフォームでトリプルアクセルを成功させた。

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「成功した大前提は、僕が跳ばせたのではなく、2人とも自ら跳びたいと思って試行錯誤した、ということです。僕がやるのは、ジャンプの仕組みを解説すること。『上がる』『回す』『体重移動させる』の3つの理論を、陸上で具体的に説明します。そこから練習して、習得するのは彼女たち自身。トリプルアクセルはとても怖い技だし、自発的な気持ちがないと、続きません」

「人間を育てていることを忘れずに」

 今季からは、世界ジュニア2位のシン・ジア(韓国)もチームに加入。ジュニアGP出場者は5名、渡辺もGPシリーズ2戦にエントリーし、『強豪チーム』として新たなシーズンを迎える。

「嬉しい悲鳴で、シフトチェンジが必要になっています。強い選手が集まったチームというのは、シーズン中、コーチは誰かの大会に帯同していて不在になる。『先生に毎日見てもらわないと不安』とならないよう、各自にカスタマイズした練習メニューを組み、海外からリモートでアドバイスするなど、子供たちが自主的に動けるメソッドを確立します。そういう意味で、僕は選手の『コンサルタント』を目指しています」

 特に注目されるのは、渡辺、中井らへの指導だ。

「昨季の成長を継続したい思いはありますが、違う展開も覚悟しています。特に渡辺さんは、2年後の五輪シーズンまでに波があるのが普通。彼女自身が自分を見つめ直す時に、サポートしていくという立場です。中井さんは、フリーの振り付けをデイビッド・ウィルソンさんにお願いし、演技や滑りを重視するシーズン。ジア選手も最高のパートナーになり、切磋琢磨できると信じています」

 アカデミー体制3年目。目指すチーム像は――。

「スケートを好きだから頑張る、という気持ちは、絶対に忘れてほしくないです。そして将来、次の道に進んだ時にここにいたことが生かされるように。多感な時期の子供たちを預かる組織として、人間を育てていることを忘れずにいたいです。一番嬉しいのは、チームに来た子が『あの子、明るくなったね』と言われること。スケートに対して前向きな気持ちになってくれたなら、それほど嬉しいことはないですね」

(初出:Sports Graphic Number 1077号/2023年7月20日発売)

中庭健介Kensuke Nakaniwa

1981年10月15日、福岡県生まれ。小学3年から競技を始め、'99年から12年連続で全日本選手権に出場。'11年に引退し、指導者の道へ。'21年からMFアカデミーのヘッドコーチを務める。

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