Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER

坂本花織17歳「選ばれたら奇跡やな」緊張に震えた初五輪、「屈辱的なものを感じた」“代表漏れ”の低迷期も…日本フィギュア界のエースになるまで

posted2026/02/28 11:00

 
坂本花織17歳「選ばれたら奇跡やな」緊張に震えた初五輪、「屈辱的なものを感じた」“代表漏れ”の低迷期も…日本フィギュア界のエースになるまで<Number Web> photograph by Sunao Noto/JMPA

3大会連続で五輪に出場し、ミラノ・コルティナ五輪では個人・団体ともに銀メダルを獲得した坂本花織。精神的支柱として日本チームを支えた

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph by

Sunao Noto/JMPA

若さと勢いで奇跡のように代表の座を射止め臨んだ平昌の舞台。その後の挫折と転機を越えて、彼女が迎えた4年に一度の冬。“緊張”の意味も変わってきたエースが描いた成長の軌跡を辿った。今季かぎりでの引退を表明している坂本花織選手。ミラノ・コルティナ五輪での活躍を記念して、Sports Graphic Number 1043号(2022年1月7日発売)の記事を特別に無料公開します。※年齢、表記等は公開時のまま

 印象的なスピンとともに曲が終わり、フィニッシュ。その瞬間、観客席の人々が一斉に立ち上がり、拍手で称えた。コーチに出迎えられると意外な言葉がこぼれた。

「怖かった――」

 そのときの心境を振り返る。

ADVERTISEMENT

「今日は……今日もなんですけど、相変わらず緊張がすごくて、ショートの時よりだいぶ緊張していて、最初の(ダブル)アクセルで傾いてしまったのでヒヤッとしたんですけど、そこから最後まで持ちこたえられてよかったです」

 11月13日、坂本花織はNHK杯連覇を果たした。前年がコロナ禍でほぼ国内大会同様のメンバーでの優勝だったことを考えると、実質的にNHK杯、そしてグランプリシリーズの初制覇と言えた。緊張と戦い、打ち克っての堂々たる優勝だった。

 坂本はこれまで何度も“緊張”について口にしてきた。しかしその意味は、あの頃とは大きく異なっている――。

「選ばれたら奇跡やな」平昌五輪の記憶

 坂本の名が広く知られたのは'17-'18シーズンのこと。シニアデビューを飾ったこの年は平昌五輪を目前に控えるオリンピックイヤーでもあった。ただ坂本自身、シーズンスタート時点ではこの大舞台を明確な目標としては捉えていなかった。

「(オリンピックに)出られるとは考えていなかったです。ほんと、最初は『選ばれたら奇跡やな』と思っていました」

 それでもグランプリシリーズに初参戦するなど精力的に試合数を重ねるなかで、伸び盛りの17歳は大躍進を遂げ、全日本選手権2位に入り、一気に五輪切符を掴んだ。

“怖いもの知らずの女子高生”などとも言われたが、五輪本番では緊張を強いられた。

「公式練習のとき、『やばい、やばい』と思いました。今までの大会だったら、フェンスにスポンサーの名前とか書いてあるじゃないですか。それがオリンピックのマークだけ。目にしたとき、緊張が……」

 団体戦のフリーはその緊張感にのまれるように出場選手中最下位の5位。そしてその後の個人戦のショートプログラムで5位に入り、フリーを最終グループで迎えることになったとき、再び緊張に襲われた。

【次ページ】 まさかの低迷「屈辱的なものを感じた」

1 2 3 4 NEXT
#坂本花織
#三原舞依
#ブノワ・リショー
#中野園子
#平昌五輪
#北京冬季五輪
#オリンピック・パラリンピック
#ミラノ・コルティナ五輪

フィギュアスケートの前後の記事

ページトップ