侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
「ダルビッシュ有が10分間マンツーマン指導…広島カープ“無名23歳ピッチャー”は誰?」39歳臨時コーチが自ら話しかけた…現場記者が見た「理想の上司像」
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/02/27 11:01
侍ジャパンの宮崎合宿にアドバイザーとして参加したダルビッシュ有(39歳)
一般的に「スライダー」を伝えるジェスチャーは、2本の指を揃え、斜めに巻くように曲げて見せる仕草だ。しかし、佐藤が目指す「ボールを曲げすぎない」スライダーを投じるには、「曲げる」のではなく、手首を立てたまま「切る」動きを意識しなければいけない。たとえ無意識に送るジェスチャーひとつでも、「スライダー」イコール「曲げる」動作をしていては、細かい感覚を意識的に覚え込ませることができない、というわけだ。
「何気ない1つの仕草でも、脳から体に伝達する感じが違う。これがスライダーだ、と認識させることで使えるようになるんだと感覚の細かい部分まで教えていただきました。自分はそこまで意識したことがなかった。アドバイスを受けてすぐ投げることができましたし、色々な経験をされて教え方、伝え方の引き出しをいくつも持っている方だと感じました」
23歳は目を輝かせながら“ダルビッシュ先生”への感謝の思いを明かした。
「知識も経験もないピッチャーにも分かりやすく」
ADVERTISEMENT
「伝え方の引き出し」
同じその言葉を口にしたのは、佐藤と同学年の23歳で侍ジャパンメンバー最年少の中日・高橋宏斗投手だった。
「北山(亘基)さんや伊藤大海さんとか、知識があって頭が良い方との方が本当は(ダルビッシュは)話が噛み合うと思う。でも僕みたいに知識も経験もないピッチャーに対しても分かりやすく、丁寧に説明してくれます。例えば、僕は体の筋肉の名前も分からないくらいなんですけど、北山さんには筋肉の名前で説明して、僕に対しては『ここ』と実際に示して見せながら教えてくれるんです。本当に頼り甲斐があるというか、何を聞いても色々な引き出しがあって、その人にあった教え方をしてくれます」
実際に高橋は初めて代表入りした2023年の前回大会の時点ではMLBの試合をほとんど見たことがなく、トレーニングの知識やデータの活用法にも詳しくなかった。しかし、国際舞台でダルビッシュや大谷翔平らと過ごすうちに開眼。今回はダルビッシュと会話する中でも「3年前よりは、体の使い方や表現できる能力は確実に成長できていると思う」と実感しているそうだが、それでも16歳上のレジェンド右腕は今も、多彩な“引き出し”からいつも高橋にとって分かりやすい言葉を取り出して向き合ってくれるのだという。
日本ハム先輩「人をこんなに変えるものなんだ…」
前回大会から「ダルビッシュ塾」に立ち会ってきた村田善則バッテリーコーチはこう証言する。


