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「人に見せるものでは絶対ないので」WBC侍ジャパン前監督・栗山英樹が記していた“栗山メモ”公開秘話…世界一に導いた采配の本音「本当は見せたくないです」
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金沢隆大Ryuta Kanazawa
photograph byTatsuo Harada
posted2026/02/26 11:01
WBCで侍ジャパンを世界一に導いた栗山英樹監督。日々記していた「栗山メモ」には何が描かれていたのか
栗山メモ「本当は見せたくないです」
「自分で言うならば栗山メモかな。メモですね。ノートというよりメモ。大事なものを忘れないようにというふうに書いてきた」
「誰にも見せることのない」と決めていたノートたちをそう説明した。自分とともに歩んできた“メモ”に対して優しい視線を送ったあと、こちらに顔を向けた。
「本当は見せたくないです。けど、あれだけWBCで応援してもらう中で自分が感じたり考えたりすることと関連して、次の世代に生かしてもらえるのであれば使ってもらうということはありがたいと思った。何かヒントになるのであれば」
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自分だけのために書いた日々の記録を人にさらす。心の奥底をのぞき込まれるような行為を、後世のためになるならと栗山は許してくれた。しかも、一切の制限をかけず全てをさらけ出すと。許可を得られた喜び以上に、とてつもなく重い責任とプレッシャーが肩にのしかかる。じかに手に取ってみた栗山メモはずしりと重く感じられた。そのメモは何度も開かれ、何度もボールペンで文字を刻まれてきたためか、少し膨らみがあり、ところどころにスレもある。無機質なテーブルといすが並べられている部屋の中で、この使い込まれたメモがひときわ輝いているようだ。
なぜ日本代表は一度も負けずにWBCの頂点まで駆け上がることができたのか。監督の采配の巧拙がはっきりと形に出ると三原が言う1点差での試合展開。そのしびれる場面で、栗山は超一流の選手たちを三原流のマネジメントで束ねて勝利をつかみ取った。
WBC直前に発見された新資料「勝利者の條件」と、WBC後に行った20時間にのぼる単独インタビュー。そして次世代に託すために借り受けた栗山メモ。この3つを手がかりにして、WBCに挑んだ栗山の采配をひもといていく。
『WBC 世界を制した采配の秘密 三原ノートと栗山メモ』(三木謙将・金沢隆大著/文藝春秋刊)*書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

