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「ベンチプレスは100kg超」「部員数が80人に激増」《偏差値68》スポ薦ゼロの国立大チアリーディング部「最強の素人集団」を日本一に導いた“3つの独自戦略”
text by

別府響Hibiki Beppu
photograph by東京外国語大学チアリーディング部RAMS提供
posted2026/02/24 11:01
2023年、2024年とチアリーディングの全日本インカレで連覇を果たした東京外国語大学。スポーツ推薦なしの国立大の躍進の理由は?
そんな中で、チームの根底となる目標設定をどうするのか。
言い換えれば、これまではただただ技術の向上を考えていればよかったが、もう一段階部として上のレベルに行くのにどうすればいいのか――という壁にぶつかったのだ。
若生は小西たち選手とも話し合い、3つの柱を立てることにした。
目標は「大会結果」より「強い組織を作ること」!?
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1つ目は、具体的な結果ではなく「強い組織を作ることが目標」という理解を徹底した。
「大会での結果はもちろん大事なんですけど、それを出すことも含めて『強い組織』を作ろうと。その過程で結果がついてくれば一番いいよね、というのを明確にしました。結果だけにこだわると、どうしてもモチベーションが上がらなくなることがありますから」
では「強い組織」とは何なのか。若生はそれを「影響力の強さ」と言い換えた。部として周囲にどれだけ影響力を発揮できるか。大会での結果だけではなく、そこを突き詰めようとしたのだ。
「わかりやすいところで言えば、まずは部員の数を増やすこと。山のふもとが広くなれば、頂点も自然と高くなる。単純に人数が増えればそれだけ能力の高い選手も入ってきやすくなります。部の規模が大きくなれば、いろんなイベントでもアピールがしやすい。そういう好循環が生まれれば、大会での結果もついてくるだろうと」
若生の言葉に、小西はこう苦笑する。
「選手としては、若生コーチほど達観はできていなくて(笑)。目に見える全日本選手権や全日本インカレでも『決勝進出』というのが大きな目標ではありました。ただ、この時点では“目標”というより“夢”という方が正確で、現実的に考えられてはいなかったんです。そういう中でコーチの話を聞いて、『そういうアプローチもあるのか……』と新鮮でした」
というのも、当時の東外大の部員の数は十数人程度。16人で演技をする競技において、この人数では何人かにケガやアクシデントが起きた時点で、演技構成を落とさざるを得なくなる。
「個々の能力もそうですけど、部の規模という点でも強豪大と差がありました。なので、いずれにせよ部員を増やすというのは競技面でも必須だなと感じていました」(小西)
そこで意識したのは、単純な「勧誘の強化」よりももう一段階上の突き詰め方だった。それは端的に言えば、青田買いも辞さない強硬スタイルである。

