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平野歩夢の“骨折出場”に韓国もびっくり「なぜ命を削るような挑戦を?」スポーツより“受験”を優先する韓国に刺さった“アユム”の哲学 

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キム・ミョンウ

キム・ミョンウKim Myung Wook

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posted2026/02/16 11:20

平野歩夢の“骨折出場”に韓国もびっくり「なぜ命を削るような挑戦を?」スポーツより“受験”を優先する韓国に刺さった“アユム”の哲学<Number Web> photograph by Nanae Suzuki/JMPA

4大会連続のメダル獲得とはならなかったが、負傷を感じさせない滑りを披露した平野歩夢(27歳)

「奇跡だ!衝撃の全身骨折→17日ぶりに五輪出場を公式宣言…日本最高のスノーボーダー、2連続金を狙う」

 こう見出しをつけた韓国のスポーツ・芸能専門サイト『OSEN』は、平野が全日本スキー連盟を通じて「今まで積み上げてきたものを信じ、あとは自分らしい滑りをするだけという気持ち」と出場を宣言したことを速報し、「“超人的な意志”でミラノへの切符を手にした」と最大級の賛辞を贈った。さらに「重傷を負ってから日本へ戻り、精密検査を経て代表チームへの合流や記者会見もできないほど深刻な状態であった」と詳細を記している。

 転倒からわずか17日後、五輪開幕3日前の“公式宣言”は韓国メディアにとってもかなりの“衝撃”だったことが分かる。韓国メディアが平野の動向を注視する動きには、彼が歩んできた圧倒的なキャリアに対する敬意が見え隠れする。

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 スポーツ・芸能総合サイト『スターニュース』は、平野を「日本で神童と評価された独歩的なスノーボード第一人者だ。15歳で14年ソチ五輪から出場した平野は、18年平昌五輪の2大会連続で銀メダルを獲得。その後、22年北京五輪で初の金メダルを獲得した」とその実績を詳しく伝えた。そして、もし今回も表彰台に登れば日本冬季五輪史上初となる個人種目4大会連続メダルという大記録がかかっていたことも、しっかりと明記されている。

ショーン・ホワイトとの死闘

 そもそも韓国では“お家芸”と言われるショートトラックが一番人気。スノーボードへの関心は決して高くはない。それでも平野の存在を知る韓国人は多い。というのも、2018年平昌五輪でのショーン・ホワイトとの死闘は韓国でも多くの話題をさらった。試合後にホワイトと健闘を称えあう姿を思い浮かべる人はいまだに多いという。

 さらに、韓国メディア『スポーツ京郷』は平野の多才さにも注目した。自国開催の東京五輪にスケートボードで出場した経歴を挙げ、「現代のアクションスポーツのアイコン」と評した。スノーボードの枠を超え、常に挑戦を続けるその姿勢が、韓国のスポーツファンの心をもつかんでいる。

「平野がなぜこれほどまでに自身の命を削るような挑戦を続けるのか」と、その背景にある「死生観」にまで踏み込んで報じたのは『スポーツ朝鮮』だ。

 実は、平野にとって今回の負傷は「2度目の死線」だった。

【次ページ】 「あと1cmずれていたら死んでいた」

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