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西武から戦力外通告、声優妻は猛反対…プロ野球選手がなぜボートレーサーに? 23kgの壮絶減量「食べ物はアーモンドだけ」野田昇吾に聞く“異例転身の真実”
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曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byKiichi Matsumoto
posted2026/02/15 11:35
主に中継ぎとして西武で活躍した野田昇吾。壮絶な減量を経て、ボートレーサーへと異例の転身を遂げた
なぜボートレーサーに?「戦力外の1時間後には…」
だが、野田の心は折れなかった。それどころか、落ち込む暇もなく新たな野心が芽生えていた。
「戦力外通告の直後ですね。たぶん1時間後くらいには、ボートレーサーになりたいと思っていました。正直、肩のこともあって、野球はもう難しいかなと」
同僚の浅村栄斗に誘われたことがボートレースに興味を持つきっかけだった。野田の在籍当時、西武の選手の間ではボートレースが流行っていた。それも数人のレベルではなく、半数ほどの選手が舟券を購入していたという。
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「内海(哲也)さんとは仲良くさせてもらっていて、二軍にいるころは2人でボートレース多摩川に行ったこともありました。その後、僕がボートレーサーになってから内海さんが多摩川に見に来てくれたことがあって、すごく感慨深かったですね。でも最初は、ただのファンだったんで。まさか自分がやる側になるとは思っていなかったです」
プロ野球選手としては小柄な野田とはいえ、現役時代の体重は約75kg。ボートレーサー養成所の応募資格にある体重の規定は男子が57kg以下だ。「日本代表等のトップクラスの活躍実績を持つアスリートを対象とした特別試験」によって1次試験が免除になる制度には該当したものの、20kg近い減量はおよそ非現実的だった。
「冷静ではなかったのかもしれない。なんか、いけるだろうって。当時はそんなに大変じゃないと思っていて。体を追い込むことも好きだったし、“20kgか、わりといけるんじゃないか”みたいな。悪い言い方をするなら、ちょっと軽い気持ちで考えてました」
妻「なんで減量してんの?」当初は猛反対
野田はおそるおそる妻に切り出した。「ボートレーサーを目指そうと思うんだけど……」。返ってきたリアクションは「はあ?」だった。
「そこから1カ月くらい、家庭内で転身の話にはちょっと触れられなかったです。とりあえずトライアウトを受けることは決めていたんですけど、僕のなかではもう引退試合だと思っていて。そのウラでしれっと減量を始めてみたり……。『なんで減量してんの?』みたいな話にもなった気はします。気まずい雰囲気、ありましたね、はい」

