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西武から戦力外通告、声優妻は猛反対…プロ野球選手がなぜボートレーサーに? 23kgの壮絶減量「食べ物はアーモンドだけ」野田昇吾に聞く“異例転身の真実”
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byKiichi Matsumoto
posted2026/02/15 11:35
主に中継ぎとして西武で活躍した野田昇吾。壮絶な減量を経て、ボートレーサーへと異例の転身を遂げた
当初、妻は反対の立場をとった。ボートレーサーが危険を伴う職業だということが最大の理由だった。1952年の初開催以来、事故によって33名の選手が命を落としている。それでも野田は主張を曲げなかった。
「妻と向き合って、ちゃんと話しました。戦力外の1カ月後くらい、トライアウトの前に。僕が一度決めたら、気持ちがなかなか変わらないタイプなので。結果的に妻も応援してくれることになりました」
プロ野球選手からボートレーサーへの転身という、無謀ともいえるチャレンジを容認してくれた妻への感謝は尽きない。言葉に感情が込められる。
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「もう単純に、妻がいなかったらボートレーサーになれていないですね。妻がしっかり稼いでくれていたおかげで、レーサーになるまで養ってくれたので。何も言えない立場です。養成所に入る前から世話になって、迷惑もかけて……。妻は貯蓄もあるし、本当にしっかりしてるんですよ。僕がパッパラパーなので(笑)。今も助けられてます」
「食べ物はアーモンドだけ」壮絶な減量の舞台裏
トライアウトを終えた2020年12月に現役引退を表明し、本格的な減量が始まった。夜型の生活を矯正するため、朝4時に目を覚まし、始発で青果店のアルバイトへと向かう。昼まで働いたあとに10kmのランニングを行い、そこからサウナを12分×5セット。これをルーティンとして、ほぼ毎日繰り返した。
――食事はどうしていたんですか? 鶏のササミとか、ブロッコリーとか?
「基本、食べ物はアーモンドだけでした」
――アーモンド……ですか。
「常にお腹は空いてるんですけど、1食、2食、3食っていう概念はなくて、たまにアーモンドをかじるだけ。あとは水ですね。ごくまれに鶏肉とかを食べるときは、“俺、肉食っちゃうよ”みたいな感じでテンションが上がりました(笑)」
およそ5カ月で、体重は75kgから52kgへと激減した。消滅した23kg――そこにはもちろん、脂肪だけでなく筋肉も含まれている。“健康的な痩せ方”のセオリーから逸脱した、壮絶な減量だった。
「限界は49kgまでいきました。養成所にいるときです。でも生きている心地がしなかったですね、そのときは」

