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2度の転倒、4回転アクセルも失敗…米国の絶対王者・マリニン21歳に起きていた“異変”「大きな負担でした」団体戦での“予定外の酷使”は影響したのか?
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2026/02/14 17:27
1位で迎えたフリーで、まさかのミスが相次ぎ表彰台を逃したイリア・マリニン(米国)
「大きな負担でした」21歳マリニンが感じていた重圧
「これは予想していなかったことです。もう終わったことで、やり直したい気持ちはあります。でも変えることはできません」
試合後、マリニンは悔いをこう表したという。
また、オリンピックが他の大会と異なる雰囲気であったこと、金メダリスト候補と言われることに「自分の年齢では、大きな負担でした」と、プレッシャーを感じていたことを示唆している。
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一方で、こうも話している。
「正直、何が理由であったのかは分かりません」
思いもしなかった演技のあと、容易に分析することはできないのも自然なことだろう。
団体戦のSPとフリー両方に出ざるを得なかった事情
ただ、懸念されていた材料はある。団体戦で、ショートプログラム、フリーの両方に出たことだ。
団体戦のフリーが終わって2日後に個人戦のショートプログラムを迎える過密日程が組まれている。その負担の大きさが影響するのではないかという心配があった。
今大会に限らず、個人戦の中には団体戦と日程が近くなってしまう種目がある。そのため、団体戦のショートプログラム(リズムダンス)とフリー(フリーダンス)とで、出場する選手を交代することは珍しくない。今大会ではアイスダンスと男子が団体戦と近接していることから、日本は男子ショートプログラムに鍵山、男子フリーに佐藤と団体戦のメンバーを分けて負担を軽減した。北京五輪でもショートプログラムに宇野昌磨、フリーに鍵山と、分けている。
そして優勝したシャイドロフは、カザフスタンが団体戦に参加していないため、必然、団体戦に出てはいない。
一方のアメリカは、マリニンが団体戦の双方に出た。もともと、マリニンとコーチら陣営には、個人戦への影響を考えて、団体戦のフリーに出る意向はなかったと伝えられている。
そこから急きょフリーにも出ることになったのは、関係者からの説得によるものだという。マリニンが出なければ、団体戦の金メダル獲得が難しくなるという説明がそこにあった。


