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速いホンダがついに復活! セパンテストでの1452日ぶりのトップタイムが証明する躍進の兆し…HRC首脳も「今年は成果が出ると思う」
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遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2026/02/10 17:02
マレーシア・セパンでの今季初テストで3日間通して好タイムをマークしたジョアン・ミル
現在のMotoGPクラスは、イコールコンディションを目指すレギュレーションの中で、コンマ数秒の厳しい戦いが続いている。新品タイヤを装着してアタックに挑む予選では上位のグリッドを狙う一発の走り、決勝レースでは連続ラップの高いアベレージが求められる。低迷期のホンダはどちらもだめだったが、昨年はアベレージの部分でステップを刻み、今年は一発のタイムにつながる「最高速」の領域で進化した。
ミルより1年遅い24年にホンダに移籍したルカ・マリーニも、ドゥカティから乗り換えた当初はRC213Vのパフォーマンスの低さに苦悩した。ドゥカティではトップグループを走れたのに、ホンダでは予選で上位12位までが競うQ2に進出することも、決勝でポイント獲得することもハードルが高かった。
「僕がここにきた24年以降、マシンは本当に大きく変化してきたし、今年の初テストはとてもポジティブだった。特にブレーキングからコーナーへの進入に関しては満足できるレベルになったと思う。でも、まだまだ新品タイヤのパフォーマンスを十分に生かせていないし、やるべきことはたくさんある」
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常に前向きなコメントが多いマリーニは速さのミルとは対照的に、どんな状況でも完走を目指す粘り強い走りで、この2年間、マシンの開発に大きく貢献してきた。
パフォーマンス向上の要因
ホンダの最大の弱点は、ふたりのライダーが異口同音に語るようにコーナーからの脱出スピードにある。アクセルを開けるとリアタイヤが空転を始め、スピニングの嵐となる。それを止めるためにエンジンパワーを落とす制御が働き、加速につながらなかった。それを改善するのにホンダは数年を費やすことになった。
初テストに訪れていたHRCの石川譲2輪レース部長は、昨年からのパフォーマンス向上の要因について、こう語ってくれた。
「エンジンについては、この数年、ピークパワー追求を狙う方向ではなく、コントロールのしやすさを目指した。それが結構うまくいったので、今度はその部分を残しつつ、どんどんピークパワーを狙うという作業を去年から続けている。エンジン特性の方向性を変えたことで、(エアロパーツなど)車体側のアイテムも、それまでは変えてもあまり変化がなかったけれど、パッケージングとしてどんどん効果が出てくるようになってきた」

