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大学では39年ぶり“たった一人の女子部員”に…《ジャンプ界の新ヒロイン》丸山希が「監督に3度の直談判」の中身は?「条件は、断トツで勝つこと」
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雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by明治大学体育会スキー部提供
posted2026/02/07 17:02
2017年に入学した明大では39年ぶりの女子部員となった丸山希。同期を含め部に女子選手はひとりだけだった
生活環境の変化に戸惑ったとしても無理はなかった。ただし、監督の成田収平は大きな心配はしていなかったという。
「野沢温泉や同じ長野出身の同級生や先輩もいて、男子部員の中にいても違和感はありませんでした。トレーニングは白馬でやるから、白馬にある横川(朝治、現北野建設監督兼チーフコーチ)の家にみんな泊まって飛んでいたしね。それにあの子は明確なんですよ。自分のやるべきことをきちんと考えられるタイプでしたから」
そのことがよくわかる話がある。まだ入学して間もない5月の連休明けのことだった。丸山が「相談があります」と監督室にやってきた。
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その時点でピンときた成田は、「入学した時点で毎日のメニューは全部組んであるんだ。苦しいのはわかるけど、それをお前が選んできたんだから」と言い、そのときは取り合わなかった。
入学直後はクロカンにも力を入れていたが…?
当時は髙梨沙羅らの活躍で女子ジャンプの注目度が高まり、大学側としても女子選手を欲している状況があった。
しかし、丸山にはクロスカントリーのメニューもしっかりと与えていた。それはジャンプ競技のための基礎体力向上や体作り、ジャンプ選手としての体重管理を企図して、横川コーチと相談して決めていたものだった。
おぼろげながら、もう一つ狙いもあった。この頃、国際スキー連盟(FIS)が女子の複合競技を拡大していこうとしていた時期であり、かつて一時FISに在籍していた成田も当然そのあたりの情報は得ていた。早ければ2022年の北京五輪で採用されるという話も出ていたという。となれば、高校時代に複合でも成績を出していた丸山のようなタレントはうってつけの存在だった。
元々、成田も複合経験者であり、丸山を初めて見たのは高校時代に彼女がクロカンをしている姿だった。スキーの上でのバランスの良さ、スキー操作のスムーズさに「上手な子だなあ」と感心させられた。だからこそ女子複合競技の顔となるような選手になれるかもしれないと想像したのだ。


