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「決してメンタルは強い方ではないです」ドジャース・山本由伸が語った“緊張との向き合い方”「緊張する局面で毎回思うのは、丁寧な生活と…」
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涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph byNIKE
posted2026/02/04 06:00
都内で行なわれたトークショーで50分にわたり熱弁をふるったドジャースの山本由伸投手
「連投が高校野球ぶりだったんです。高校野球で自分がエースだとしたら、連投が正しいというか、2番手に任せるよりはエースがまた投げるっていう選択肢も分かるんです。でも、ワールドシリーズの7戦目で、周りもメジャーリーガーの方だったので、その状況、そのタイミングで『行けるよ』と言うのが正しいことなのかって(葛藤があった)。前日に投げて、2日目の自分の状態がどこまでかもわからなかったので、迷いじゃないですけど、本当にチームのためにいいことなのか、というのは最後まで分からず……そこをすごく考えていましたね」
全米が、日本中が注目したあの第7戦。テレビの前で見ているこちらまで緊張してしまったが、あのマウンドに上がる前、本人にそれはなかったという。それは日々の生活、練習を丁寧に積み重ねており、前日の登板後も準備ができていたためだろう。
そしてロバーツ監督やコーチ陣に自分が「行ける」「投げられる」と名乗り出ることが、チームのためになるのかどうか、というその1点で迷っていたというのだ。
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個人の緊張ではなく、チームへの責任感ーー。
究極の舞台に立つアスリートの生の言葉は、ファンの思考を超えていくのだろう。
論点2:周囲の否定をどう受けとめるか
「この人だなって、すごいピンときたんです」
山本は矢田修氏との出会いをこう振り返った。矢田氏は大阪で「キネティックフォーラム」を主宰するトレーナーであり、山本が実践するやり投げやブリッジのような独特のトレーニングを教えている人、と説明するのがわかりやすいだろうか。
矢田トレーナーにインタビューした「Number」1134・1135号の記事<山本由伸「あの奇跡は偶然ではない」>では、米虫紀子さんが山本が取り組んできたトレーニングについて、わかりやすく、簡潔にまとめているので引用したい。
《矢田の考案したBCエクササイズは、体の深部に働きかけて自律神経の調整能力を向上させ、全身の連動性を高めて大きな力を引き出すもの。正しく立つところから始まり、400以上もの種類がある。フレーチャという器具を用いる槍投げのようなトレーニングやブリッジがよく知られているが、それはほんの一例。すぐに体や数値に変化が表れるトレーニングではないが、山本は我慢強く自分の体と対話を重ねた。》
「ピンときた」という言葉が飛び出したのは、杉谷さんから「ウェイトをガンガンするいうより、カラダ全体を使ったトレーニングのイメージあるんですけど、キッカケはあったんですか」という質問をされたときだ。山本が背景を説明する。


