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棚橋弘至49歳の引退はなぜ感動的だったのか? 報道陣が拍手した“ある言葉”…「ブーイングも浴びた」プロレスラー人生の最後に見た“超満員の東京ドーム”
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原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2026/01/07 17:02
49歳の棚橋弘至は1月4日、超満員札止めの東京ドームで26年間の選手生活を終えた。ファンに別れを告げる「100年に一人の逸材」
新日本プロレス“棚橋丸”への期待
棚橋は引退試合をオカダと戦ったが、自身のプロレスラー人生を33分3秒の中に改めて刻み込むように動いた。飛び続けたハイフライフローのヒザへの代償は大きかったが、この日も棚橋は飛んだ。場外にも昔のように飛んだ。リング上では“大人の事情”で互いに戦いたくても戦うことがかなわなかった中邑真輔のポーズを取り、オカダにヒザを見舞った。オカダも内藤のデスティーノを繰り出してみせた。
「僕がね、高校生でプロレスファンになって、『こんなに面白いもんがあるんだ』って、人生が1000倍楽しくなったんですよ。だからこれからもプロレスを知らない人に、知っていただいてね、僕と同じように『あっ、楽しくなった』っていう、そういった人が一人でも増えるように。社長としてもできることが山程あるんで、全力で頑張っていきます」
幕引きの時はついに来てしまった。だが、終わってみると寂しさがある。
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翌日、大田区総合体育館で棚橋と同郷のYuto-Iceが面白いことを言っていた。
「昨日、棚橋弘至が引退して、まださみしい気持ちがあんのもわかっとる。前も言ったがよ、オレは太陽にはなれねえんだ。あの人みたいにファンのみんなに愛を叫ぶ、すげえことなんてできねえし、あの人みたいに真っ直ぐな笑顔でオマエらを幸せにする強さもねえ。まあ、ヒーローみたいによ、カッコよくねえし、カッコいいことも言えねえけどよ。もしよ、オレみてえに太陽や月、対戦相手の光でしか輝けねえ成れの果てが、見てえヤツら、喜怒哀楽、生の感情、すべてさらけ出してえヤツら、“プロレスハイ”になりてえヤツらはよ、勝手にオレの背中追ってこい!」
11月の岐阜で棚橋に新日本を託された辻陽太はKONOSUKE TAKESHITSA(竹下幸之介)と「ちょっと異次元」(棚橋)の試合を見せて、IWGP(世界)ヘビー級王座を戴冠した。新日本プロレス“棚橋丸”は、ここから新しく、面白いステージに突入する。



