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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
箱根駅伝で圧勝の青学大…選手に描かれた「★7」の意味は? “当日変更→復路給水”の4年生が語った“亡き親友との絆”「面白いヤツで、魅力的で…」
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小堀隆司Takashi Kohori
photograph byNanae Suzuki
posted2026/01/05 17:02
今回の箱根路で青学大の選手らの体の一部には「★7」の文字が。昨年2月に悪性リンパ腫で死去した当時3年生の皆渡星七さんの名前を表している
チームにとってどれほど掛け替えのない選手であったか。
昨年夏、書籍『青学流「絶対王者の鉄則」』(祥伝社)の取材で合宿先の菅平を訪れた際、原監督が目にうっすらと涙を浮かべながらこう話していたのを思い出す。
「ほんと泣き言を言わないコでね。前回の箱根の前にはリモートをつないで全体ミーティングに参加してくれたんですよ。もう外見は痩せ細って、帽子も被っていたけど、『元気になって来年こそは僕が走るから』と。逆に箱根を頑張れって、みんなを勇気づけてくれました。前回掲げた『あいたいね大作戦』は、元気な姿になった皆渡にまた会いたい、そんな意味合いもあったんです」
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チームは優勝したが、みんなの祈りは届かなかった。
荒巻には、ほんの少し心残りがあるという。
「じつは、ちょっと喧嘩してたので。理由ですか? 今となってはあんまり覚えてないですけど、面と向かって『お前のことは気に食わん』『マジでよう分からんわ』って言い合ったのかな。それでもいつも話はしていたので、距離は近かったです。喧嘩したことについて悔いはないんですけど、ただもっと話をしたかった……そう思います」
喧嘩するほど仲が良い。おそらくはそんな関係だったのだろう。後悔のない青春などつまらないし、時が経てばそれもきっと笑い話になっていたはずだ。
掛け替えのない友を失った辛さは、簡単に癒えるものではなかった。世間から皆渡の存在が忘れられていくのも怖かった。だからこそ、親友の分まで、ともに目指した箱根で思い切り脚を、腕を振りたかったのだ。
復路当日は…無理を言って8区の給水に
直前の胃腸炎で箱根を走ることはできなくなったが、荒巻は気持ちを切り替えた。そして、チームが優勝するために何ができるかと考え、次のような行動に出た。
1月3日の復路当日、8区の10km付近にジャージ姿の荒巻の姿があった。
本来は3年生の鳥井健太が給水係を担う予定だったが、無理を言って交代を願い出た。8区を走る同じ4年生の塩出翔太を、言葉で勇気づけたかったのだ。
「とりけん(鳥井)は多分、来年走るので。とにかく10kmで何を言われたら嬉しいかなとか、何を言われたら元気が出るかなって考えて、翔太には声をかけました」

