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野球クロスロードBACK NUMBER
ブルージェイズと4年94億円契約…“日本の主砲”岡本和真の高校恩師が語る規格外「ふくらはぎなんて象みたい」「校舎のガラスが割れてもいいように…」
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/01/06 06:02
ポスティングを利用してのMLB挑戦でブルージェイズと4年総額94億円の契約で合意したとされる巨人の岡本和真。その原点でもある高校時代の姿とは?
指示すれば実践できる。そんな岡本だからこそ、監督の注文もシビアになっていく。
スピンをかけるようにボールの真ん中を捉えることで鋭い打球を飛ばせる――そんな一般論でなく、小坂は「ボールの内側やや上あたりを、ドライブ回転させるようにバットを出せ」と、岡本に命じたのである。
小坂が専門的に解説する。
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「逆にバットに当たる瞬間『ボールに被せるように打って、打球をドライブさせろ』と。ストレートの場合、ボール1個分くらい差し込まれるものなんです。それなのに最初からスピンをかけようとすると、だいたいがフライになるんです。だから、ボールに被せるよう打ちにいったほうがちょうどいい回転を伝えられるし、厳しいコースを攻められても打球はあんまり切れないんで。岡本はそれができるバッターでしたからね」
「学校側に『カーテンだけ閉めといてください』って…」
監督の細かい要求をも打席で体現するようになった岡本の打球は、さらに脅威となる。日々、戦々恐々としていたのは相手チーム以上に、学校側だったのだという。
智辯学園グラウンドの外野ネットが、センターを中心に両翼に向かってだんだん高くなっていく。とりわけライト側の先には校舎があるため、右方向へ果てしなく打球を飛ばせる岡本対策として、小坂は学校職員や各クラスの担任に頭を下げて回ったほどだった。
「練習では木で打たせていたんですけど、それでもネットを越えていくんで、学校側に『カーテンだけ閉めといてください』って。どっちにしても危険なんですけど、窓ガラスが割れてしまっても教室とかに破片が散らばらないんで、それだけはお願いしました」
スラッガーとして確実にランクアップしている。だからこそ、小坂は岡本に普段の佇まいから風格を求めた。
3年生になる14年。チームのセンバツ出場が決定すると、小坂はこんな指令を送った。
「大口を叩け。あんまちっちゃいこと言わんと、『甲子園ではバックスクリーンに打ちます』くらい言え」
控えめなチームの主砲が、監督からの言いつけを忠実に遂行する。
「ホームランは打ちたい。バックスクリーンにいきたいですね。打率は5割を目指します」

