- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥の勝利後本音「今夜は良くなかった」“怪物と最も拳を交えた男”はどう見たか? 黒田雅之が語る「年間4試合の疲労」「中谷選手の評価はまだわからない」
text by

森合正範Masanori Moriai
photograph byNaoki Fukuda
posted2025/12/31 06:51
12月27日、アラン・ピカソに12回判定勝利を収めた井上尚弥
「ピカソ選手ができることは全部やっていた」
日本男子で世界王座の年間4度防衛は具志堅用高以来、46年ぶり。井上の対戦相手は左構えのキム・イェジュン、右構えのカルデナス、左のアフマダリエフ、右のピカソとサウスポーとオーソドックスが交互となった。
――一方で、ピカソ選手はどういう試合展開を思い描いていたのでしょうか?
「当然、試合するからには勝ちたい、倒したいというのはあったと思います。ガードは固めていましたけど、出ようとしていましたし左フックをフルスイングで打ってました。あれを狙って、右ストレートへつなげたかったのでしょう。でも、人によっては『勝とうとしてない』という投稿がSNSで見られたんですけど、僕としてはピカソ選手ができることは全部やったんじゃないかなと思います。でも、そういうふうに見えなくさせられている、勝つ気がないって見られるようにさせられているんです」
ADVERTISEMENT
――させられてしまう、といいますと?
「井上選手と対峙することによって、そうさせられてしまうんです。バトラー選手だって、ドヘニー選手だって、誰も負ける気でリングに上がらないじゃないですか。ディフェンシブにならざるを得ないというか、知らず知らずのうちにそういうボクシングをさせられてるっていうんですかね」
黒田氏「僕は試合前、対戦相手に会いたくない」
――ガードをしっかり固めようっていうのは、ありつつ。
「なんですけど、どうしても攻撃をしづらく、自分から展開をつくれなくなっていく。先ほどのジャブの話や動きのカウンターにつながってきますけど、先手を取れず、後手に回ってしまった、と解釈しています」
――なるほど。今後の井上選手に期待することは?
「自分のやりたいように、楽しんでやってほしいと思います。今回のリヤド・シーズンとか、一連の流れを見ると、いろんな制約や契約があったり、誰よりも重圧がのしかかっていると思うんですけど、引退するまでボクシングを楽しんでほしいな、という気持ちです」
――試合前のイベントや取材も多そうでしたね。中谷選手と対談したり、井上選手とピカソ選手は互いの似顔絵を描いたり。
「僕は試合前、対戦相手に会いたくない。試合が終わったらいいですけど。試合前には話したくないですから。ピカソ選手とだけじゃなくて、リヤド・シーズンのイベントと戦っているような気がしました。井上選手が主役じゃないですか。大規模のイベントを成功させる、盛り上げる、大会の成否を担っているというんですかね」


