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原晋監督「イエスマンはいらない」青学大の“スカウト方針”がじつは変化していた…一体なぜ?「箱根駅伝で勝ちたい…“欲”を持った選手が伸びる」
text by

原晋Susumu Hara
photograph byAFLO
posted2026/01/04 06:00
青学大を箱根駅伝の“常勝軍団”に変えた原晋監督の“スカウト論”とは?
やはり、いろいろなことに興味があるのは、それだけ知りたい欲があるということ。一般的に欲深いことは罪といわれますが、人間のパワーは欲から生まれるものだと私は思っているのです。さまざまな話題で会話が成り立つ子のほうが面白い。会話が成り立つのは、地頭がよい証拠でもあります。
実際に、大学に入ってから伸びるのも欲の強い子のほうです。陸上がもっとうまくなりたい、箱根駅伝で勝ちたい、そうした意欲をより強く持った選手が伸びていきます。
逆に、勝っても負けても表情ひとつ変えず、涙も浮かばなければ笑顔も出ない……。そのように欲も出さず、感情に乏しい選手は、なかなか成長することは難しいでしょう。
「うちはイケメンしかスカウトしないんよ」
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2025年に卒業した最強世代を率いていたのが、キャプテンの田中悠登でした。
彼をスカウトした際には、こんな話をしたのを覚えています。
「うちはイケメンしかスカウトしないんよ」
最初はこの言葉に戸惑った様子でした。どういう意味かわかるか、と言って、その意図をこう説明しました。
「一生懸命陸上に取り組んでいる選手は表情が明るい。試合で結果を残せると、自信に満ちてもっと魅力的な顔になる。だから、いい選手は自然とイケメンなんだよ」
田中は文字通りのイケメンですが、それよりも表情の豊かさが私の目を引いたのです。
スカウトの際、他大学のなかには、施設の充実ぶりをアピールして選手を勧誘するケースがけっこうあるようです。
ですが、私はそのようなアピールはあまりしません。施設がいいに越したことはありませんが、寮生活で求められるのはむしろ居心地のよさです。どんな先輩がいて、先輩と後輩はどのような関係性を築いているのか、生活面での説明のほうに時間をかけます。
実際に、私たちが勝ってきたのも練習環境の良し悪しではないのです。一番大事なのは人であり、組織に根づく哲学です。ですから、そこを丁寧に説明するのです。
