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巨人女子チーム→米女子・ロサンゼルスからドラフト指名…島野愛友利(21歳)が明かす大谷翔平への”共感”「本当にありえない」でも「投打で出場して…」
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山口史朗(朝日新聞)Shiro Yamaguchi
photograph byYuki Suenaga
posted2025/12/28 17:02
アメリカ女子野球プロリーグ(WPBL)のドラフト会議でロサンゼルスから指名を受けた巨人女子チームの島野愛友利
「本当にありえないことをしている」と畏怖の念を持ちつつも、ある種の「共感」も口にする。
「あそこまで楽しそうに野球をして、積み重ねたらあんな姿になるんだって。本当に遠い世界ですけど、自分も野球が好きだし、楽しくできる。それを積み重ねたらどういう姿になれるのかなって」
島野も投手と打者の「二刀流」で野球を続けてきた。巨人では野手メインでの出場だったが、アメリカではチャンスがあれば、投手にも挑戦したいと思っている。
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「投打で出場して、試合の実権を握るというか、動かせる選手になりたい。通用するかどうか、すごい楽しみな部分です」
12月いっぱいで巨人との契約を終え、渡米に向けて本格的に準備を始める。
「お試し」で行くような感覚ではない
WPBL開幕は8月だが、島野は4月から米国に拠点を置く予定だ。
現地のクラブチームなどで実戦を積み、英語の勉強もする。「『お試し』で行くような感覚はない。そこで活躍して次につなげたい。4月から行って、環境に慣れたり人脈を広げたりする期間にしたい」
そのための支援を得るため、プレゼン資料を作ってスポンサーを募る活動も始めた。
WPBLというプロリーグがこの先、どうなっていくのか不透明な部分は多い。「MLB(大リーグ)の女子版」のような存在に大きく育っていってほしい、というのが島野の願いだ。
「それは選手がしっかりプレーして成り立つこと。レベルが追いついていなかったら足踏みする。そこに少しでも貢献できるような選手になりたい」
中学3年で注目を浴びるようになってから、島野の思いに一切のぶれはない。
選手としてのレベルアップはもちろんだが、女子野球の未来の開拓も自らに課した使命だ。WPBLの盛り上がりも、日本の女子野球に好影響をもたらすと信じる。
女子にも甲子園ができ、巨人にチームができた。女子野球の人口は着実に増えている。レベルも格段に上がっているのは、島野自身も肌で感じている。
SNSには「島野さんに憧れています」と野球少女たちからのDMも届く。
島野愛友利が歩む後ろに、道は確かにできている。

