大谷翔平の舞台裏:ドジャース異聞BACK NUMBER
ドジャース・山本由伸「僕の練習は基礎ばっかり」“地味なルーティーン”を、なぜチームメイトも首脳陣も称賛するのか? 調整中の“大暴投”も実はスゴかった
posted2025/12/17 06:00
日々の地道な調整が、山本由伸の安定した活躍を支えていた
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斎藤庸裕Nobuhiro Saito
photograph by
Getty Images
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同僚、首脳陣も称賛する「山本のルーティーン」
ワールドシリーズ連覇を果たしたドジャースの25年シーズンは山本由伸の第1球から始まり、最後の1球も山本由伸で終わった。メジャー2年目にして開幕投手を務め、チームを背負うエースとして絶大な信頼を得た27歳。開幕から唯一、先発ローテーションを崩さずに安定感抜群の投球を続けた。同僚だけでなく、投手コーチら首脳陣から再現性や、質の高さを称賛される山本のルーティン。繰り返しの作業に、細かな「こだわり」が垣間見えた。
登板間では、重さ約400グラムの投球練習器具「FLECHA(フレーチャ)」を5本抱え、キャッチボール前にジャベリックスローに取り組む姿は、独自の調整法としておなじみとなった。そのやり方は、上方に向かって山なりのように投げる、30~40メートルの距離で低い軌道で投げる、ステップして60~70メートルの遠投のように投げるなど、数種類の方式に分かれている。驚くのは、ただでさえ操作性に難しさがあると言われているにも関わらず、山本は距離に応じて同じ位置、ずれても数メートル以内に落下させる。体の使い方において、再現性が高い証拠だ。これをシーズン中、繰り返し、地道に続けていた。
調整中の大暴投は「OK」と語る深い理由
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注目されている独特の調整法は、他にもある。100メートルはあろうかという距離の大遠投だ。ノーステップで、ライナー性の力強いボールを相手に向かって投げ込む。美しい遠投でもあるが、相手の頭上を大きく越え、球場のスタンドや防球ネットに突き刺さることは、実はざらにある。その“大暴投”にも、明確な意図があった。

