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山本由伸、伝説的リリーフのウラで…「大量の鎮痛薬を飲んでいた」ロハス「同点で泣いちゃった」マンシー「負けたと誤解した」キケ、ドジャース“脇役”ストーリー―2025年下半期読まれた記事
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生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2025/12/20 06:00
ワールドシリーズ連覇で喜ぶ、キケ・ヘルナンデスと山本由伸。じつはキケは試合中に「負けた」と勘違いしていた
そして9回表1死、カウントは3‐2。7球目、ロハスの打球はレフトへ飛んだ。メジャー通算、たった57本しかホームランを打っていないロハスの同点弾!(大谷だったら1シーズンで到達可能な数字だ)。
優勝が決まったあと、三塁を守っていたマックス・マンシーは、こう話した。
「ミゲルは出場機会が減っていた時、コーチのところに行って、『どうすればチームの助けになれますか?』って聞いていたんだ。そのあと、言われたことを全部やっていた。彼こそが究極のチームプレーヤーだ。そのミゲルがホームランを打った瞬間を思い出すだけで……泣けてくる」
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その裏、山本由伸がスクランブル登板、1死満塁のピンチを迎える。すると、前進守備のロハスに打球が飛ぶ。体勢を崩し、ボールを握り直したが、間一髪、本塁でフォースアウト。もしも、三塁走者がもう一歩、リードを取っていたら、ブルージェイズのサヨナラ勝ちだったかもしれない。
この後、ロハスは膝に手を当て、下を向いていた。ホッとしていたのではなかった。痛みが体を貫いていたのだ。
そしてウィル・スミスが11回表に勝ち越し弾を放つと、ロハスは退いた。パッサン記者のこの記事を読むと、「ああ、そういうことだったのか」と納得する。
「ああ、負けた…」キケの誤解
第6戦、ロハスが脇腹を痛めた時、送球したのはキケ・ヘルナンデスである。
キケは第7戦の9回裏、ロハスが本塁で封殺した後、2死満塁の場面でレフトへの大飛球を追いかけた。抜ければ……終わりだ。この時のキケはフェンス側を向き、アメリカンフットボールのワイドレシーバーが難しい捕球をするような体勢になった。
私は、キケがフェンスの方を向いた瞬間、「ああ、やられた」と思った。
と、そのときセンターからやってきたのがアンディ・パヘスだった。
その前の場面、守備固めで入ってきたパヘスだ。
大柄なパヘスは、小柄なキケを吹っ飛ばして大飛球をキャッチ、試合は延長戦にもつれ込んだ。
しかし、キケはフェンス際でうつ伏せになって、起き上がらなかった。ケガか? と思ったが、違った。


