第102回箱根駅伝(2026)BACK NUMBER

「打倒青山学院大学」に向け、箱根駅伝シフトで充実の強化を図ってきた中央大学・藤原正和監督が探す「最良の区間配置」とは 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2025/12/24 10:01

「打倒青山学院大学」に向け、箱根駅伝シフトで充実の強化を図ってきた中央大学・藤原正和監督が探す「最良の区間配置」とは<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

母校を率いて10年目となる藤原正和監督

「中大としてトラックで世界と戦える人材をつくりながら、夏以降は駅伝仕様に選手を仕上げていく。それが基本的な考え方でした。ただし、今季は夏の時点から完全に箱根駅伝を意識した練習メニューに切り替えました。10月には出雲駅伝、11月には全日本大学駅伝もあり、特に距離の短い出雲駅伝にピークを合わせるのは難しくなると覚悟の上で、長い距離を踏むメニューを組みました」

 8月に山形蔵王で合宿を行なった際は、1日にトータルで50km以上を走るメニューが組まれた。それも平坦な道ばかりではなく、5区を意識したような山上りの練習を組み入れてのメニューだった。

 そして迎えた10月の出雲駅伝では、「ピークが合わない……」という予感が的中した。1区では岡田開成(2年)が区間賞を獲得して「中大強し」を印象づけたが、その後は失速し、10位に終わった。レース後の藤原監督の表情はさえなかった。

「ある程度、覚悟はしていたんですが……。勝負が出来ていない内容での10位ですからね。全日本大学駅伝で立て直さないと」

 その全日本大学駅伝では距離が延びて、各選手がようやく実力を発揮した。4区の柴田大地(3年)は区間賞を獲得。最終8区ではエースの溜池一太(4年)が青山学院大学を捉えて総合2位でフィニッシュ。藤原監督も安堵の表情を浮かべた。

「これで夏からやってきたことが間違っていなかったと証明できたと思います。学生も不安だったかもしれません。でも、これで自信をもって箱根駅伝に向かえます」

10000m27分台へのこだわり

 11月22日に行われたMARCH対抗戦では、最終組に登場した藤田大智(3年)が青学大の黒田朝日(4年)に次いで2位に入るなど、戦力の充実をうかがわせた。

「MARCHを終えて、10000mの27分台を6人は揃えることが出来ました。4年生ではキャプテンの吉居駿恭、そして溜池。3年では藤田が完全にエース格となって、前回3区で区間賞を取った本間颯もいます。それに下級生では2年生の岡田、1年生の濵口大和も27分台に入ってきました」

 藤原監督がここまで27分台にこだわるのは、「打倒青学大」という明確な目標があるからだ。

「スピードと強さの両立。それが中大の目指す姿です。今回の箱根駅伝で優勝すれば、『強い中大』の幕開けになるはずです。青学大は強いけど、それを倒してこそ価値があると思います」

 総合優勝への鍵は区間配置にありそうだ。今回『2区は溜池に託す』と早い段階から明言してきた。

「2区はエースが走るべき区間です。それに経験値がものをいう区間でもあるので、溜池に期待しています。ただ、総合優勝を見据えると、今回は10区まで上位校がもつれると思います。そうなると、復路にもゲームチェンジャーを残しておきたい。前回は1区で区間賞を獲得した吉居を復路に回すことも想定しながら、最良の区間配置を見つけたいと思います」

 勝利の方程式は見つかるだろうか。もしも、中大が総合優勝を果たすなら、実に30年ぶりの歓喜となる。

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