オリンピックへの道BACK NUMBER
号泣のウラで坂本花織に起きていた“異変”…なぜGPファイナルで“想定外のミス”が起きたのか?「緊張がなくて…」演技後に明かした“ある原因”
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2025/12/08 17:02
GPファイナルSPでまさかの5位スタート、総合3位となった坂本花織(25歳)
ミスの裏で手ごたえを得た“2つの要素”
課題を得る一方で、手ごたえもあった。
「ノーカン(ノーカウント)のわりに得点がもらえました」
ショートプログラムのあと、坂本はこう語っている。実際、ジャンプの失敗を考えれば、高い点数を得ている。その根源はショートプログラムで1位であった演技構成点にあり、そして各要素のできばえ点の高さにある。
ADVERTISEMENT
フリーでも演技構成点はトップ。2番目に高かった優勝者アリサ・リュウを3.14上回り、その他の選手にはこの部分で大きな差をつけている。パーフェクトではなくても、フリーの得点が1位であった要因の1つは、この高い演技構成点にある。差の付きにくい今の女子の争いにあって、アドバンテージとなり得ることを実感した。
それだけにとどまらない。
「今回、ショートでは、想定外のミスがありました。もちろんミスするのは間違いだし、でもミスをしても引きずらなかったのは今までの経験で積んできたものかなと思うので、そこはすごく自分に助けてもらえました」
と振り返る。
語った覚悟「自分に厳しくしていけたらな」
フリーの3連続ジャンプも、見方を変えれば底力にほかならない。最初のジャンプがうまくいかないと、そのまま単独のジャンプになってしまい、連続ジャンプにできないことは往々にしてある。でも坂本は、シングルアクセルになっても、2つ目以降は予定通りにジャンプをつけた。
最初のジャンプがシングルになったとき、「(中野)先生に叫ばれました。『ああ』に点々がつきそうなぐらいに」。
相当な声だったのだろう。「もう力ずくで跳びました」と笑う。

