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号泣のウラで坂本花織に起きていた“異変”…なぜGPファイナルで“想定外のミス”が起きたのか?「緊張がなくて…」演技後に明かした“ある原因”
posted2025/12/08 17:02
GPファイナルSPでまさかの5位スタート、総合3位となった坂本花織(25歳)
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
12月4日から6日まで行われたフィギュアスケートのグランプリファイナル、坂本花織は3位で終えた。
課題に直面し、そして収穫を得る機会となった。
涙が止まらなかった坂本は取材陣の前で…
坂本の演技は思いがけない展開で始まった。
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12月5日、ショートプログラム。冒頭、トリプルルッツが2回転になる。ルールでは、ショートプログラムの「ソロジャンプは3回転」と定められていてそれに満たないと無効になるため、このジャンプは0点となった。
その後は崩れることなく滑り切ったが、トリプルルッツの基礎点は5.90点、成功させればできばえ点が加わることを考えても、失った点数は大きい。出場者はグランプリシリーズ上位6名、拮抗するレベルの中ではなおさら大きく響く。結果、5位スタートとなった。
演技が終わった直後から表情にショックの色がありありとうかがえた。リンクから上がり中野園子コーチに出迎えられると涙が止まらない。ミックスゾーンにも赤い目で現れた。
「練習でもしないミスです」
「(失敗の理由は)自分でもちょっと分からないというか……」
次の言葉も、想定外であったことを示唆していた。
「ほんとうに何が起こったか分からなくて、お客さんの声で気づきました。『ああっ!』と聞こえてきて、『やっちゃったんや』と」
最後まで、吹っ切れた表情にはならなかった。


