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メキース代表は最後までチャンスを与え続けたが…角田裕毅がレッドブルのシートを喪失するきっかけとなった“あのレース”とは?
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尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images / Red Bull Content Pool
posted2025/12/03 17:02
ついにレッドブルのシートを失うことが発表された角田。2021年以来5年間、レギュラードライバーとして戦った
もちろん、その不振にはトップチームとしてあるまじき失態が大きく影響している。ベルギーGPのピットイン指示ミスやメキシコGPのリアジャッキの作業ミス、サンパウロGPでの10秒ペナルティ消化前にメカニックが作業を開始するミスやラスベガスGPでのタイヤの空気圧設定ミスなど多くの不運があった。
ただし、それ以外にもレースはあり、角田にはチャンスがあった。しかし、現状を打破するだけの走りを見せられなかった。
フェルスタッペンが9戦連続表彰台に上り続け、ドライバーズチャンピオンシップ争いをしている一方で、表彰台はおろかトップ5に一度も入ることができなかったという事実に目を背けることはできない。
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メキースにとって、自ら角田のレギュラーシートを奪う発表を行うことは、断腸の思いであったことだろう。それはレッドブルのリリースに書かれた角田へのメッセージに滲み出ていた。
「ユウキはレッドブルカラーで7年間レースしてきた。私は両方のレッドブルチームで彼と共に働く喜びを経験しました。ユウキの予選での優れたパフォーマンス、日曜日のレースでの卓越したスタートと素晴らしいレース運びを忘れることはないでしょう。彼はF1の5年間という日々で完成されたレーサーへと成長しました。また、ユウキはレーサーとしてだけでなく、ひとりの人間としてもこのスポーツに関わる誰からも愛されていました。レッドブル・ファミリーにとって非常に特別な存在です。レッドブル一同を代表し、これまでの貢献に感謝したい」
角田を待つF1での未来
日本人がF1のレギュラードライバーから姿を消すのは2020年以来、6シーズンぶりとなる。そのこと自体は日本人として残念な結果ではあるが、悲観するのはまだ早い。この発表をもって、角田はF1から引退するのではない。26年以降もテスト&リザーブドライバーとしてレッドブル・ファミリーの一員としてF1にとどまる。
メキースは、次のように角田へ信頼と期待を寄せる。
「26年以降も、ユウキがわれわれに貴重なサポートを提供してくれることを確信している」
角田はまだ25歳。今後、チームからの信頼を得ることができた先に、新たな未来が待っていることを祈りたい。

