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メキース代表は最後までチャンスを与え続けたが…角田裕毅がレッドブルのシートを喪失するきっかけとなった“あのレース”とは?

posted2025/12/03 17:02

 
メキース代表は最後までチャンスを与え続けたが…角田裕毅がレッドブルのシートを喪失するきっかけとなった“あのレース”とは?<Number Web> photograph by Getty Images / Red Bull Content Pool

ついにレッドブルのシートを失うことが発表された角田。2021年以来5年間、レギュラードライバーとして戦った

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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 レッドブルが12月2日(日本時間12月3日)に、2026年のドライバーラインナップを発表。すでに残留が決まっているマックス・フェルスタッペンのチームメートとなったのは角田裕毅ではなく、レッドブルの姉妹チームであるレーシング・ブルズのアイザック・ハジャーだった。

 同じタイミングでレーシング・ブルズも26年のドライバーラインナップを公表。リアム・ローソンが続投するとともに、現在FIA F2に参戦しているアービッド・リンドブラッドをF1デビューさせると伝えた。これにより、キャデラックの参入で来季は22となるF1のシートはすべて埋まり、角田はF1でのレギュラーシートを失うことが決まった。

 角田にとって5シーズン目となった今年は、レーシング・ブルズからレッドブルへ移籍し、好成績が期待される1年となるはずだった。

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 最大のチャンスは第7戦エミリア・ロマーニャGP。初日8番手、チームメートのフェルスタッペンとのタイム差はコンマ1秒だった。セッティングを変更して臨んだ予選だったにも関わらず、Q1からプッシュしすぎた角田は、最初のアタックでいきなりクラッシュしてしまった。

 マシンを大破した角田はなんとか翌日のレースに出場して入賞したものの、その後、最新のパーツを使用することができないレースが続いた。さらに事故によってレッドブルのマシンで自信を持ってアタックするまでに時間を要し、本来のキレのある走りが鳴りを潜めた。

 このころからレッドブル内で権力争いが起き、チームの状態は悪化。マシンのパフォーマンスが低下していったこともあり、角田もなかなか思うような成績を残せないレースが続いた。

メキース代表はチャンスを与えたが…

 そんな中、チームは代表を務めていたクリスチャン・ホーナーを解任し、新しくローラン・メキースを代表に据えた。メキースは昨年から今年の第2戦中国GPまでレーシング・ブルズで共にレースしてきた戦友だった。

 メキースは新しいパーツの使用がフェルスタッペンに偏っていた状況を見直し、角田にも同様のパーツを供給した。さらに26年のドライバーの決定を遅らせるなど、角田にチャンスを与え続けた。

 角田もアゼルバイジャンGPやアメリカGPで光る走りを見せた。だが、レッドブルの首脳陣を納得させられるだけの結果を出すには至らなかった。

【次ページ】 角田を待つF1での未来

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