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「メンタルめちゃくちゃでした」楽天入り決断の前田健太「戦力外通告、マイナー契約、球速低下…」“感覚派右腕”がどん底から掴んだ再起の核心 

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山田結軌

山田結軌Yuki Yamada

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posted2025/11/28 06:00

「メンタルめちゃくちゃでした」楽天入り決断の前田健太「戦力外通告、マイナー契約、球速低下…」“感覚派右腕”がどん底から掴んだ再起の核心<Number Web> photograph by Yuki Yamada

来シーズン楽天でプレーすることを選んだ前田健太

 タイガース在籍時には、データや動作解析の担当者からスイーパーの多投と体を横に振るようなフォームを求められた。しかし、それによって前田が長年、信じてきた感覚からはどんどん遠ざかった。

「メンタルもめちゃくちゃでした」

「ずっと違和感があった。違う、違う、というのが続いた」

 チームから信頼されていない苦しさも精神的に堪えた。

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「もうメンタルもめちゃくちゃでした。自信をなくしましたね。初めての経験、感情でした」

 日本とメジャーで築き上げた「投手・前田健太」が崩壊していた。

  復活を目指す厳しい道が始まった。5月中旬にカブスとマイナー契約。移籍後はフォーム修正に着手し「僕は縦、斜めくらいに体を使う方がいい感覚がある。コーチにもそれを相談しました」。横ぶりから、縦ぶりへの回帰。修正は噛み合い、復調の実感が生まれた。

「感覚」を取り戻すための闘い

 自身が「感覚派」であることも再認識した。これまでフォームに悩むと、キャッチボールやブルペン投球では毎回、動画を撮影。動作の一つひとつをコマ送りで分析していたが、「でも、僕はそれをやっちゃうとダメなんです。とにかく感覚を大切にした方がいい。分かっていたのに、それも見失っていた」と前田。自分の感覚を研ぎ澄ませる。とにかく心地よく、フィーリングのいい投げ方をする。それが最適なフォーム修正だった。

「ここから動かして、このタイミングでこうして、捻転させて……とかやったら、僕はどんどん分からなくなってしまった。とにかくいい流れで投げる、ということを意識し直しました」

 キャッチボールをただ楽しんでいた幼い頃のように投げた。時には、内野手がクイックスローをするように投げ、体の自然な動きに任せた。

「ジャンプするようなものです。ポンポンポンって。ジャンプする時に地面に足がついたら、ここに力を入れて、その次に……とか考えないじゃないですか。あ! これか! みたいな感覚が分かってきたんです」

【次ページ】 掴んだ復活への手応え

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