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「問題は解決。愛してるよ」妻に写真で報告…“純金の結婚指輪をなくした金メダリスト”ブラジル人夫婦が語る「神様、日本の人たちに感謝よ」
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沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/12/03 11:02
世界陸上男子20km競歩で金メダルを手にするカイオ・ボンフィム
「そうなんだ。指輪を受け取り、内側に妻の名前『Juliana』が彫ってあるのを確認した」
〈問題はすべて解決した。愛してるよ〉
――そして、左手の薬指にはめてキス。「とうとう指輪が戻ってきたぞ! みなさん、本当にありがとう!」「ジュリアーナ、問題はすべて解決した。愛してるよ」と奥さんへメッセージを送った。
「本当に感激した。かなり取り乱してしまったけれど、返ってきて本当に良かった」
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――各種情報を総合すると、20日、東京に滞在していた外国人がコース付近で指輪を見つけた。でも、すぐに新幹線で大阪へ移動する必要があり、新大阪駅へ着いてから警察官に指輪を渡して事情を説明。警察が大会関係者に連絡を取り、東京へ送ったそうです。
「ああ、そうらしいね。一時は、自分で大阪まで取りに行かなければならないのかと思っていたよ(笑)。改めて、指輪を拾って返してくれた人、長時間、指輪を探してくれた大会関係者、大阪の警察関係者、指輪を輸送してくれた人、そして指輪のことを心配してくれたすべての方に深くお礼申し上げます」
妻に聞く「馴れ初め」「競歩への偏見」
カイオは銀メダルを獲得した35kmのレース後、ブラジルのテレビのインタビューに対し、嬉し涙を流してこう語っている。
〈ブラジルにいる妻が毎日、メッセージを送ってきて『あなたならきっとできる! 自分を信じて頑張って!』と励ましてくれたのが本当に力になった。最後は、全く余力が残っていなかった。どうやってゴールまでたどりつけたのか、自分でもわからない〉
さらに今回の取材中にも「自分のキャリアは、家族のサポートがあるからこそ」と繰り返していた。そんな彼とともに歩んでいるのは妻ジュリアーナさんだ。彼女にも結婚指輪の件を含めて、話を聞いた。
――カイオとの馴れ初めは?
「彼とは家が近くて、幼馴染だったの。彼の方が、2歳年上。とても活発な男の子で、色々なスポーツを楽しんでいた。でも、あまり勉強はしなかったわね(笑)。その後、彼が20歳、私が18歳のときに交際を申し込まれた。それが、なかなかドラマチックだったの」
――詳しく教えてください。

