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「問題は解決。愛してるよ」妻に写真で報告…“純金の結婚指輪をなくした金メダリスト”ブラジル人夫婦が語る「神様、日本の人たちに感謝よ」
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沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/12/03 11:02
世界陸上男子20km競歩で金メダルを手にするカイオ・ボンフィム
「彼も私もヴァスコダガマ(リオに本拠を置くビッグクラブ)のファンだったんだけど、『リオへ行ってヴァスコの試合を見ないか』と誘われ、試合中に『前から君のことが好きだった。交際しよう』と言われたの。驚いたけれど、私も彼が好きだったので承諾したわ。それから交際が始まり、3年後、またリオへ一緒に行って、コルコバード(巨大なキリスト像)の下でプロポーズを受けた。彼の誠実な人柄を信じていたから、迷うことなくイエスと言ったわ」
――ブラジルはフットボール王国で、バレーボール、ビーチバレーも世界トップレベルにあるが、他のスポーツはあまり人気がない。競歩に打ち込む夫を支えるのは苦労が多いのでは?
「そうね。あなたも彼から聞いたと思うけど、競歩に偏見を持つ人が多く、経済的にも大変。常に結果を残さなければ競技生活が成り立たない、というプレッシャーがある」
子どもは3人…純金の指輪は二度となくさないで
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――お子さんが3人いるそうですね。
「6歳、4歳、生後3カ月の男の子ばかり3人。上の2人はいつもこの陸上クラブへ遊びに来て、走り回っている」
――先日の世界陸上で、彼は見事な成績を残した。
「本当に夢のようだった。彼が日本にいる間、毎日欠かさず、励ましの言葉と金メダルの写真を送り続けたの。私たち皆の願いが叶って、本当に良かった」
――見事な成績を残したことに加え、競技中に指輪をなくし、それが奇跡的に見つかったことも大きな話題となりました。
「これも彼から聞いたと思うけど、あの指輪は私たち一家にとって特別なもの。それだけに、なくしたと聞いたときはショックだった」
――見つかると思っていましたか?
「絶対に無理だと思っていました。カイオはこれまでレースで日本に何度も行っており、『日本は素晴らしい国で、日本人は皆、とても親切で誠実。日本の人々を信じる』って言っていた。でも、純金の指輪が見つかり、それを返してもらえるなんて普通はありえない。奇跡よね。だから、彼には『金メダルを取ったんだから、許すわ。でも、もう二度となくさないで』 と伝えたの」
カイオの両親は16歳と26歳の時から…
――彼から「指輪が見つかった」と聞いた時の気持ちは?
「とても信じられなかった。そんなことがあるの、と驚き、感動した。神様に、そして日本の人たちに感謝したわ」
カイオとジュリアーナさんの2人も素晴らしい関係なのだが――取材を進めてさらに面白かったのが、カイオの両親も“いい夫婦”だったことだ。もともとは2人とも陸上選手で、それぞれ選手とコーチの関係。それも母ジャネッチさんいわく……。
「私が16歳、彼が26歳のときだった。交際していることが発覚して、学校では大騒ぎ」
いったい、どういうことなのか。〈つづきは下の【関連記事】へ〉

