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「できてた、できてた!」三浦璃来が嬉しそうに木原龍一を褒めて…りくりゅうがスケートアメリカ“逆転優勝”でつけた自信「疲れてる姿は見せない」
posted2025/11/22 17:01
りくりゅうが優勝を果たしたスケートアメリカフリーの演技
text by

田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
11月15日、グランプリシリーズ第5戦のスケートアメリカは、レイクプラシッドで開催された。1932年と1980年の2度、冬季オリンピックが開催されたこの山間の避暑地は、ウィンタースポーツの聖地とも言える。この土地で、りくりゅうペアが今季GP2戦目の優勝を果たし、GPファイナル進出を射止めた。
「今日の会場は、ちょっと変な、一風変わったエネルギーに満ちていたと思います」
フリーの演技後、ブルーノ・マルコットコーチはそう口にした。標高の高さに加え、リンクがホッケーサイズで幅が4メートルほど狭かった影響もあったのか、確かにペアフリーの最終グループは、ありえないようなミスが続いていた。SP4位だったアルメニアのペアは最後のスピンで男性が転倒。SP3位だったドイツのホケ&クンケルは、リフトがあがりきらずに総合5位に落ちた。「だから、少しだけ心配ではあったんです」とマルコットコーチ。
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たとえ見ていなくても、アスリートは言葉にはできない会場の雰囲気、空気に敏感である。だがその重苦しい空気を吹き払ったのは、りくりゅうの力強いフリー「グラディエーター」だった。
コーチ「リクは迷わずに跳んだ」
初日のSPは厳しい戦いとなった。三浦璃来がサイドバイサイドのトウループを2回転にしてしまうという珍しいミスが出たのだ。ジョージアのメテルキナ&ベルラヴァに4.41ポイントの点差をつけられ、2位というスタートに。会見に臨んだ二人の表情は硬かった。「5点というのは、ショートではすっごい大きな点なので、さすがに笑えなかったです。昨日は。いかにリカバリーができるか考えていたので」と翌日、三浦は説明した。
「今回本当に難しい試合で、ミスが出たことにあせってしまった自分がいた。ミスが出た中で、どう普段の冷静な自分に戻るかということが勉強になった試合でした」木原龍一はそう振り返った。

