フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
「できてた、できてた!」三浦璃来が嬉しそうに木原龍一を褒めて…りくりゅうがスケートアメリカ“逆転優勝”でつけた自信「疲れてる姿は見せない」
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田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2025/11/22 17:01
りくりゅうが優勝を果たしたスケートアメリカフリーの演技
翌日フリー「グラディエーター」では、高いトリプルツイストから演技を開始。ジャンプシークエンスの3トウループで三浦の着氷が乱れたが、続く2アクセルはきれいに決まった。マルコットコーチは「あの時点でアクセルはカウントされないことがわかっていたにもかかわらず、リクは迷わずに跳んだ。それが彼女のアスリートとしての心の強さを物語っています」と評価した。
二人が本格的に世界チャンピオンらしい強さを見せたのは、そこからだった。スロウ3ルッツ、サイドバイサイド3サルコウ。アンドレア・ボチェッリの歌声にのって繰り広げられるスピードある演技は、会場に溜まっていた負のエネルギーをきれいに浄化していくかのようだった。
逆転優勝「今までの練習は間違っていなかったな」
後半のスロウ3ループもきれいにきまり、木原が三浦を両手で頭上に持ち上げるドラマチックなポーズで終了。レイクプラシッドの観客は二人をスタンディングオベーションで讃えた。フリー141.57、総合215.99を獲得した。
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最終滑走だったジョージアのペアはプレッシャーもあったのだろう、大きなミスがいくつか出てフリー4位、総合2位に。りくりゅうの逆転優勝が決まった。
「一つ失敗すると、あせりが出るんですけど、今までの失敗をいったん忘れて、一つ一つのエレメンツに集中することがいかに大事か。そのポイントの積み重ねで140台にのせることができたので、今までの練習は間違っていなかったなと思えた試合でした」と三浦は感想を口にした。
オリンピックを2月に控えた今季、普段追われる立場にいる二人にとってここでの戦いはとても貴重な体験だとマルコットコーチは指摘する。
「彼らはこのところ、SPは1位ということが多かった。世界タイトルを取った時も、2度ともSP1位スタートでした。けれどもここでの経験で、たとえオリンピックの舞台で今回と似たようなことが起きたとしても、動揺せずに対応できると学び、自信になったはずです」


