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新日本プロレス“2つのIWGP”の行方は…? 竹下幸之介と辻陽太「1.4」二冠戦をめぐる思い「あの場所にいたんだ、と」「IWGPヘビーを取り戻す戦い」
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/11/08 11:05
IWGP世界ヘビー級王者・竹下幸之助とIWGP GLOBALヘビー級王者・辻陽太。両者は2026年1月4日に互いのタイトルをかけて東京ドームで戦う
晩年の猪木は笑った「まだIWGPやっているのか」
猪木は晩年、たまたまIWGPの話題になったとき「まだIWGPやっているのか」と笑っていたが、世界の名をつけたかったのなら新日本プロレスは「NJPW世界へビー級王座」にすればよかったのにと、その時、私は思った。
IWGPとNJPWではIWGPの方にブランド力があったと判断したのだろうが、そのタイミングでNJPWのブランド力を上げるという発想はなかったのだろうか。
サッカーの話だが、国際サッカー連盟FIFAはすべてのカテゴリーに「FIFAワールドカップ」をかぶせてブランド化した。欧州サッカー連盟UEFAでは、クラブのタイトル数は変わったが、以前から明確にランク付けされている。
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それぞれのプロレス団体にタイトルが多すぎるけれど、それはおいておくとしても、タイトルにはきっちりとランク付けをすべきだろう。
「辻、新日本プロレス、頼むな」棚橋弘至に託された男
そんなIWGP世界ヘビー級王者はKONOSUKE TAKESHITA(竹下幸之介)で14代目になった。竹下は11月2日に岐阜で後藤洋央紀を下し、子供の頃には想像もできなかった念願の1.4東京ドーム大会にコマを進めることができた。
相手は同日、IWGP GLOBALヘビー級王座戦で棚橋弘至に勝った辻陽太。「辻、新日本プロレス、頼むな」と棚橋からリング上で言われた男だ。
現在の新日本プロレスが提供できる最高のカードが竹下vs.辻なのは間違いないが、タイトルに関する思いは竹下と辻とでは異なる。
辻は以前から「IWGPヘビー級王座の復活」を口にしてきた。辻が心から締めたいベルトはIWGP GLOBALヘビーでも、IWGP世界ヘビーでもなく、IWGPヘビー級王座という感覚になる。
竹下のいるリングに笑みを浮かべて姿を見せた辻が言った。
「次の相手はこのオレだ。ある人が言ったんだよ、『馬鹿になれ』ってな。あいにくオレは棚橋社長の引退相手を務めるほど馬鹿なレスラーではない。ただ、このIWGP、そして新日本プロレスのためならとことん馬鹿になってやる。それがオレの覚悟だ」
「竹下幸之介として本音で話させてください」
竹下は11月4日にテレビ朝日で行われたカード発表記者会見で語った。
「IWGP王者としてドームに立つ。これはボクにとっても凄く意味のあることで、特別な想いがあるので、竹下幸之介として本音で話させてください。幼少の頃、プロレスファンになった。それはアントニオ猪木さんが引退するタイミングと重なっていて、多くのメディア、テレビ、新聞でプロレスというものが中心に取り上げられていました。しっかり鮮明に覚えてます」



