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“開幕35連敗”から改革…SVリーグ群馬を引っ張る“小さなキャプテン”高相みな実「群馬がどこまで上がっていくか期待して」今季すでに4勝
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph bySV.LEAGUE
posted2025/11/07 11:02
SVリーグ開幕戦で勝利するなど好スタートを切った群馬グリーンウイングス。高相みな実(左)は今季からキャプテンとしてチームを牽引している
本格的な転機は、大学卒業後に入団したPFUブルーキャッツでのこと。加入3年目のシーズンを迎える頃に訪れた。当時、チームは大型補強を行い、新しい選手が多く加わっていた。高相はその中で「結果を残さなければいる意味がない」と自らの立ち位置を模索した。そして、一つの答えにたどり着く。
「日本一の選手になる、と決めたんです」
高相が言う“日本一”とは何か。
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「チームを勝たせることはもちろんですが、日々、体育館で目指せる“日本一”があると思うんです。挨拶や周りへの声かけ。ボールに触る頻度や、練習で質を高めるためには量も必要です。スパイクやブロックで一番点を獲るのは難しいかもしれないけれど、でもディフェンスでは必ず日本一になれると思っているし、スパイクも決定率と効果率を同じにして、ミスが少ない選手になりたい。どんな場面でも、自分が果たすべき役割はあると思うんです」
“日本一”を目指すのはコートの中だけでなく、身体への意識も同じ。練習前後のケアやストレッチに加え、かなり意識していると自負するのが食生活だ。
「石川選手だって徹底しているのだから」
身体が小さい分、人より動き、跳ぶために身体を酷使してきた自覚がある。その分を食事でしっかり栄養を摂って補う。朝は味噌汁とごはん、卵、旬のフルーツとヨーグルトは必ず食べる。昼と夜は寮で食事をするが、メニューによってたんぱく質や野菜が足りなければ、自宅に戻ってから自ら調理して不足分を摂取する。トレーナーから「空腹時間が少ないほうがいい」というアドバイスを受け、寝る前のプロテインも欠かさない。
「石川祐希選手も食事に気を配っているという記事を見て、あれだけすごい選手でも毎日そこまでやっているなら、身長が低い自分はもっとやらなきゃと思って。最近やっと、バレーボールが楽しくなってきた自覚があるし、楽しくなってからが人の成長できる時だと思うので、これからもっと伸びる自信があります」
昨季はリーグ42試合、144セットに出場したが、チームとしての結果は伴わず「自信をなくしたこともあった」と振り返る。今季は新戦力も加入し、ポジション競争が激化。それでも群馬での時間を「楽しい」と語り、自信も口にする。その根底にあるのは「身長が小さいから」と言われた中でも逆境を跳ね除けてきたハングリー精神だ。


