メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「大谷翔平のソロ本塁打はOK」本音ポツリ…中継に映らなかったブルージェイズの敗戦後ミーティングで「監督が10回繰り返した言葉」ドジャースを追い詰めた裏側
text by

四竈衛Mamoru Shikama
photograph byJIJI PRESS
posted2025/11/05 11:00
「ソロ本塁打はOK」ブルージェイズはドジャース・大谷翔平にどう立ち向かったのか?
ブルージェイズが重要視したポイントは、単に大谷を徹底マークするだけではなかった。1番大谷からムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンと「MVPトリオ」が並ぶ打線が相手だけに、大谷1人を抑えても勝てるわけではない。
カギは、「下位打線封じ」にあった。
「正直に言うと…ソロ本塁打ならOK」
キケ・ヘルナンデス、トミー・エドマン、アンディ・パヘスらクセ者揃いの下位打線が出塁し、大谷らの上位打線に回れば、大量失点につながる可能性は高い。開幕前のコーチ会議などでは、主軸だけでなく、下位打線への対策により多くの時間を費やした。
ADVERTISEMENT
昨季限りで現役を引退し、今季からブルージェイズのフロントで戦略やデータのアナリストを務める加藤豪将は、ドジャース打線対策の一部を明かした。
「正直に言うと、大谷にはソロ本塁打なら打たれてもOK、くらいの感じです。走者をためて打たれないようにするためにも、下位打線を抑えることが大事というわけです」
第1戦の7回、大谷に2ランを許したものの、ブルージェイズが大量9点をリードした場面でもあり、勝敗には影響しない一発だった。第3戦では第4打席までに2本塁打&2二塁打と打ち込まれたが、本塁打はいずれもソロだった。延長18回までもつれたその後の5打席は、ソロ本塁打も許されない状況でもあり、走者なしの場面も含め、申告敬遠4回とストレートの四球。最後はフリーマンのサヨナラアーチで敗れた一方、無謀な勝負を極力避ける大谷対策は、終始一貫していた。
結果的に、大谷に対しては27打数9安打、打率3割3分3厘、3本塁打、9四球(5敬遠)で出塁率5割と封じきれなかった。その一方で、全36回の打席で走者なしの状況で迎えたのが27打席と、事前の対策は功を奏した。大谷を計5打点に抑えたことで、ビッグイニングを作らず、1イニングの最大失点は第6戦の3回に許した3点だった。常に終盤まで緊迫した接戦に持ち込み、「歴史的なワールドシリーズ」と呼ばれるほどの熱戦を繰り広げた。

