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物議のデュプランティエ起用「なぜ藤川監督は理由明かさない?」じつは藤川球児が2年前に語っていた“批判への本音”「ご想像にお任せします」発言の真意
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岡野誠Makoto Okano
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/11/06 06:02
日本シリーズ第2戦で先発した阪神・デュプランティエ
謎は謎のまま残しておいた方が、相手は不気味さを感じる。余計な情報は1つも与えたくないのだろう。
「評論」と「采配」は別…藤川監督の考え
1年間、藤川監督はこの手法でチームを優勝に導いた。そして、今回も同じ対応をした。おそらく在任中、変えないだろう。なぜなら、現役時代にこう悟ったからだ。
〈打たれると「アイツなんで、こんなところでストレートばっかり投げるんだ」と言われる。100回中1回しか打たれてなくても言われる。その時は相当、悩みました。だけど、悩んで寝ても、次の日は必ず来るわけですよ。で、同じギリギリの場面になった時、またストレートを選んでいる。で、良い結果が出たら、何も言われないんですよ〉(23年8月8日配信/YouTubeチャンネル『キャリオク』※発言を元に主旨をまとめた)
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シリーズ前、藤川監督は先発・ディプランティエを最善策と信じた。だが、裏目に出た。指揮官は結果で全てを判断される。
この采配を失敗と言われるのは仕方ないし、論評を止める権利は誰も持っていない。逆に「藤川監督の判断が絶対正しい」と全てのファンが肯定したら、異様な世界観が創出される。事実、背番号22は批判の声を否定していない。前述のコメントで、こう言っている。
「評論のところですから、それはいつでも評価はしていただければいいんじゃないでしょうか」
評論と采配は全くの別物、解説者と監督は正反対の職業と理解しているのだ。だから、監督の自分はデュプランティエの起用理由を答えないが、周囲の論評(批判)も尊重し、評価は自由だと泰然自若と構えている。
意見するファンほど熱量があるとも言える。藤川監督は自分に批判的なファンも戦力にしようとしているように見える。
勝てない時期もあるだろう。優勝できない年もあるだろう。窮地に陥った時、藤川監督は落合監督のように自分を貫けるか――。それが常勝軍団を築くためのカギになりそうだ。

