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「なぜそれを落語でやるの?」が出発点…“偏差値70超の進学校→国立大の数学科入学”異端の落語家が「落語界のM-1」で勝つ“最強のネタ”を作るまで 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byAtsushi Hashimoto

posted2025/11/06 11:04

「なぜそれを落語でやるの?」が出発点…“偏差値70超の進学校→国立大の数学科入学”異端の落語家が「落語界のM-1」で勝つ“最強のネタ”を作るまで<Number Web> photograph by Atsushi Hashimoto

京都の進学校→国立大の数学科という異色の経歴を持つ落語家の立川吉笑。NHK新人落語大賞という大舞台で、勝負ネタに選んだのは?

 古典の場合は笑いがそれなりに入る滑稽噺で勝負する落語家が多いが、もともとの大枠が決まっている分、話術や演技の技量も評価の対象となる。良くも悪くも根本的にウケ量で勝負するわけではないため、結果的に失敗は見えづらいが、成功も見えづらくなる。

 その意味で、笑いの入れどころを計算できる新作落語の方が、NHK新人落語大賞の舞台では圧倒的に有利なのだ。

 NHK新人落語大賞は、一次予選を通過した東西合わせて6名が決勝に進む。結局この年、吉笑は「ぷるぷる」で予選を通過する。

決勝前は…2週間、当日のスケジュールをシミュレート

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 決勝戦は2022年10月31日。

 吉笑はあらゆるシミュレーションをして決勝に臨むことにした。そこに一片の悔いも残さないように、である。

「もともと10月31日は朝から学校寄席の仕事が入ることが決まっていました。なので、決勝の2週間前くらいからは、当日と同じ朝7時に起きて決勝が始まる夜6時半くらいにベストの体調に持っていくためにはどうしたらいいかの実験をしました。昼寝をしてみたり、合間に休んでみたり……とにかく出来ることは全部やって、決勝に臨もうと決めていました」 

 だがしかし、万全の準備をしただけでは勝てない。当然、そこには「運」も作用する。

 代表的なのが、高座の順番である。

 M-1同様、落語の世界でも「トップバッターは不利」というのが定説だった。吉笑の決勝での出番は3番目。可もなく、不可もなくという順番だった。前編でも触れたように、前日の夜には後輩を呼んで、緊張を紛らわす意味も込めて当日のシミュレーションも念入りに行った。

 そしていよいよ、運命の決勝戦当日を迎えることになる。

<次回へつづく>

#3に続く
「M-1と決定的に違うのは…」“元は芸人出身”異端の落語家が振り返る“落語界のM-1”決勝戦の全内幕…「熱量が結果につながるのは、自明の理」
この連載の一覧を見る(#1〜3)

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