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甲子園での日本シリーズ第3戦・阪神逆襲のカギを握るのは“山川穂高封じ”…野村克則コーチの重要証言「(山川の)3打席以降に今後のヒントが…」
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鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/10/28 11:07
日本シリーズ第2戦で3ランを含む2安打5打点と爆発したソフトバンクの山川穂高。阪神逆襲のカギは“山川封じ”にあるのか…
DeNAを相手に今年と同じように第2戦で本塁打を含む3安打3打点と山川のバットが爆発し、チームも連勝スタート。しかしその後は徹底したDeNAバッテリーのマークにあって、3戦以降の山川はノーヒットに抑え込まれてしまった。そしてその沈黙に歩を合わせるように、ソフトバンク打線は4試合でわずか3得点。点が取れずに連勝からの4連敗で敗れ去ったのである。
「1つのポイントであることは間違いないですね」
こう山川封じを語るのは、阪神の野村克則バッテリーコーチだった。
阪神・野村コーチの分析
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初戦では8回に代打で起用された山川に、マウンドの石井大智投手が3ボール1ストライクから外角のスライダーが外れて四球を与えた。第2戦では1回の勝ち越し二塁打は2ボール1ストライクからの外角ストレートを右中間に叩かれたもの。そして2回の3ランは2球目の外角高めのスライダーを左中間に運ばれた。
この間に投じた11球で内角球はわずか2球しかなかったのである。
「とにかく今日に関しては(先発のデュプランティエ投手が)悪すぎて、組み立てにならなかったですから。そういう意味では3打席以降に今後へのヒントはあったと思います」
第2戦後の野村コーチの分析だ。
3打席以降は確かに内角への球が増えていく。その結果インサイドを攻めながら外の変化球を使って3打席凡退、2つの三振を奪っている。どれだけしっかり内角を抉って、踏み込ませずに打ち取っていくか。昨年、DeNAバッテリーが成功した組み立てが徹底できるかが、やはり山川封じの1つのポイントとなっていくということだ。
短期決戦では勝敗を決する場面に打席が回り、必ず結果を残す“シリーズ男”が生まれることが多い。そういう選手が出てくれば一気に勝負の流れを作り出すことになるが、逆の存在もあるはずだ。
“逆シリーズ男”をどう作り出すか
徹底的にマークされて、チャンスでことごとく凡退を繰り返してしまう“逆シリーズ男”だ。相手打線にそういう“逆シリーズ男”をどう作り出すかというのも、短期決戦を勝ち抜く一つの方法なのである。
昨年のDeNAは、まさに山川をその“逆シリーズ男”へと仕立て上げることで、日本一への下剋上を果たすことになった。
そしてそう考えると、対する阪神ファンにとって気になるのは大山悠輔内野手の不振だろう。

