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「ちゃんとできるじゃん、こいつら」箱根駅伝予選会で過去最高成績…バラバラだった理系大学チームの変化「逃げたり、言い訳するヤツがいなくなった」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/10/22 17:00
箱根駅伝予選会で過去最高の18位を記録した芝浦工大。4月からチームを指導する徳本一善監督が進めてきた変革の成果とは?
合宿のミーティングからチームがまとまってきた
内山も夏合宿が大きかった、と話した。
「監督が来たばかりの時は、やる気のある人とそうじゃない人で分かれる感じだったんですけど、夏合宿で、『予選会で15番内を目指していくぞ』ということで1〜2時間ミーティングをしたんです。
そこで、メンバー争いの人たちの姿勢が変わりました。メンバーに絡めない人たちも、それまでそっちのけみたいな感じだったんですけど、その後は記録会に出たり、なにかやろうという姿勢が見えて、チームがまとまってきたと思います」
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徳本監督の指導は意識的な部分がクローズアップされがちだが、実は科学的なデータに基づいた教え方をしている。それによって選手のモチベーションも高め、走力向上に努めてきた。
内山は、それがレベルアップに欠かせなかったと語る。
「監督は、これまでとまったく違う指導でした。一番は、乳酸値とかVO2max(最大酸素摂取量)とかで、自分がこのくらい伸びたというのを数値で可視化してくれたことです。それまではがむしゃらに距離をただ踏む感じだったんですけど、自分の現状を数値で理解し、予選会に向けてピークをもっていけるように計算して練習を組んでくださって、こうしていけば走れるな、自信がつくなというのが分かりました。それは自分だけじゃなく、みんなにとってもすごく大きかったと思います」
自分たちはやれるんだという手応え
予選会後、徳本監督の表情が穏やかだったのは、こうした経緯があり、チームの今後に何かポジティブなものを感じていたからなのかもしれない。
「ただ、この予選会に入る前は、練習はできているけど、本当に強くなっているのか、みんな、かなり不安っぽい感じだったんです。でも今回18番になったことで、選手は自分たちはやれるんだということを理解したと思いますし、手応えを掴んだと思います」
徳本監督自身も、何かしら手応えを感じているということだろう。
だが、18位からさらに順位を上げていくのは、かなり骨が折れる作業になる。例えば、夏合宿を一緒に行った駿河台大が今回15位(10時間40分42秒)で、芝浦工大との差は8分25秒だ。追いつくにはひとり約50秒の短縮が求められる。

