ドラフト会議「石垣元気はドラ1で消えるが」“不作”もスカウト注目の高校生…大阪桐蔭の“甲子園逃した190センチ腕”と「育てたくなる」好投手3人 

　佐藤投手は身長173センチと小柄ながら、速球の最速は147キロを記録している。手術後の経過も順調だという。スカウトは「プロに入ってすぐに肘を手術する投手もいるので、すでに手術を受けて問題なく回復しているのであれば、手術はネガティブな要素にはなりません。長身が投手の個性になるという部分と似ていますが、左投手の軌道も練習での再現が難しいので特徴の1つとなります」と評した。

　野手で上位候補と予想したのは、昌平の櫻井ユウヤだ。高校通算49本塁打を記録したスラッガーで、今夏の埼玉大会決勝でも本塁打を放った。その長打力はプロのスカウトの目も引く。

「打球を遠くに飛ばすコツや感覚を知っている打者です。引っ張る打球が多いプルヒッターに見えますが、逆方向にも飛ばせるタイプとみています。低反発バットの導入で長打が減る中、パワーだけでは、これだけの数の本塁打は打てません。近年は高校生の長距離打者があまり目立たないので、需要の高いドラフト候補と言えます」

“じつは注目している”3人の好投手とは

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　今年の高校生では健大高崎・石垣が“1強”と表現できるほど、突出した存在となっている。現有戦力がそろっていて、育成に軸足を置ける球団は健大高崎・佐藤や昌平・櫻井を上位で指名する可能性がある。スカウトは、その他の注目選手として、九州からは神村学園・早瀬朔と延岡学園・藤川敦也、そして関東では水戸啓明・中山優人の3投手に触れている。

「早瀬投手は力強さとしなやかさの両面を兼ね備えています。まだ線が細いですが、上背がありますし、ストレートとスライダーの組み合わせで本格派の投手に成長するイメージが湧きます」

神村学園の早瀬　©Hideki Sugiyama

「藤川投手は下半身がどっしりとしていて、速球に力があります。高校生で150キロを超える球を投げられる投手は限られています。投球フォームに改善の余地を感じる分、もっと球速が上がる期待も膨らみます。持っている能力が高く、育てたくなるタイプです」

「中山投手の最大の魅力はストレートの質です。伸びがあって、打者が球速表示以上に速く感じます。まだまだ細身ですが、楽天の岸孝之投手とイメージが重なります」

　大学生や社会人と違い、高校生はプロに入ってからの伸びしろを見極めて指名されるケースが多い。プロのスカウトは、選手の成長曲線を思い描いて評価する。それだけに手腕を問われ、球団のドラフト戦略を大きく左右する。〈つづきの大学生編は下の【関連記事】第1回へ〉