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「新監督就任ヤクルトの1位は剛腕サウスポー」「ロッテ3位指名はまさかの“163cm超小兵”」ドラフト全指名予想《ヤクルト・ロッテ・広島編》
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安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/10/21 11:01
163cmの小兵ながらドラフト候補に挙がる勝田成内野手(近畿大・163cm70kg)
スリークォーターからの速球は140キロ前半だが、左打者にはリリースポイントが全く見えていない。スリークォーターなのに落差の大きなカーブが投げられて、クロスファイアーの角度も鋭く、スプリットの沈みも大きい。
何よりのアドバンテージは、これだけのサイズの大型左腕なのに、緊迫の場面でストライク先行の投球ができること。登板経験が浅いのは、イコール潜在能力の大きさだ。
ロングヒッターの適性は「立石以上」の2位指名
1つ戻って、2位・高橋隆慶(JR東日本)には「長距離砲」としての期待を込めての上位指名となった。ロングヒッターとしての適性なら、むしろ立石正広選手より、こちらの屈強な三塁手の方だろう。
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中央大当時は粗っぽかった野球が、「負けたらアウト」のトーナメントの社会人野球で研ぎ澄まされたのだろう。この2年間で、野球が上手になった……というか、丁寧な野球ができるようになった。軽々とスタンドに放り込める怖さを保ちつつ、タイムリーが欲しい場面では、ポンとライト前でベンチの期待に応える。ホットコーナーを守りながら、投手にひんぱんに言葉をかけて鼓舞する。カープの偉大な先輩・衣笠祥雄選手の現役当時が、ちょうどこうだった。
田中広輔、上本崇司……チームのリーダー格だった内野手が抜ける来季のカープ。ショートもセカンドも高いレべルでこなせる4位・成瀬脩人(NTT西日本)が獲れたのはタイムリーだった。シュアなセンター返しと盗塁できるスピード。打ち損じの内野ゴロでも一塁全力疾走を欠かさない一生懸命さで、カープ伝統の「泥くさい闘争心」を受け継ぐ。
4年前のドラフト直後、カープのあるスカウトが、「このキャッチャーは欲しかった」と残念がった強肩・強打の捕手が、ようやくカープとご縁がつながった。
5位・小出望那(大阪産業大)はホームランを打てる怖さを秘めた捕手だ。今年のドラフト、捕手の人材難に、各球団が頭を悩ました。ヤクルト2位で明治大・小島大河捕手が指名されて、その次が、5位指名の小出捕手。この現実がその現象を如実に証明しているだろう。
6位・半田南十(日大藤沢高)は、カープ・尾形佳紀スカウトの後輩にあたる。ポジションも同じ「遊撃手」だが、決して「縁故採用」なんかじゃない。
高校入学直後の練習試合で、いきなり2本塁打。スタートから天才的バッティングセンスを発揮して、数少ない「打てる遊撃手」に台頭した。探求心旺盛で、なかなかの理論派。プロレベルの理論の理解も早いだろう。田中広輔タイプの「スーパープレーはないかもしれないが、投手が打ち取った!と思った打球はすべてアウトにできる遊撃手」だ。
<西武・中日・楽天編へ続く>
