- #1
- #2
ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「もう一軍で投げられないかも…」DeNA森原康平33歳がついにCSで復活! “微笑みのクローザー”が乗り越えた「選手生命にかかわる危機と心の闇」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/10/15 11:03
CSファーストステージ、ついに「リードした9回」に“微笑みのクローザー”が戻ってきた。今季の森原康平を襲っていた長い苦難とは?
「起用してくれたことがうれしかったですし、それにあのファンの大声援が聞けて、本当にありがたいなと思いながら投げましたね」
巨人の主軸を3人で仕留める
薄く笑みを浮かべる“微笑みのクローザー”がまず対峙した打者は巨人主砲の岡本和真。森原は、初球の高めのスライダーで空振りを奪うと、つづく2球目に146キロのストレートをインサイドに投げ込み、岡本をセンターフライに打ち取った。まさに“刺さった”ボールだった。
ストレートであれ変化球であれ、自分が描いたタイミング、球速、球威、軌道が一体となり狙った場所へボールが行ったとき、森原のなかで“刺さる”という感覚が生まれる。
ADVERTISEMENT
つづく岸田行倫には、外角いっぱい148キロのストレートを刺すと、外角高めのスライダーでレフトフライ、さらに若林楽人に対しては3球連続でゾーン内にフォークを投げ込み二ゴロに切って取ると、横浜スタジアムは爆発するような大歓声で沸き上がった。森原も久々のガッツポーズを見せ、チームメイトたちと喜びを分かち合った。
そして心の奥底で「報われたな」と思いながらも「よし、ここからだ」と、気持ちを入れ替えた。
昨季の力投で肩を痛めて
振り返れば今季は、投手生命の危機さえ感じていた不穏な日々だった。昨季は日本一となり胴上げ投手にもなったが、シーズン後半とポストシーズンでの無理がたたり右肩を痛めてしまった。水が溜まり炎症を起こし、感じたことのない痛みが鋭く走った。プロとなり9年目、これまで肘の手術を2度しているが、野球を始めてから肩を痛めたのは初めてのことだった。
オフになると、今まで経験したことのない不安感に襲われたという。森原は神妙な表情を見せ、正直に言った。

