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「もう一軍で投げられないかも…」DeNA森原康平33歳がついにCSで復活! “微笑みのクローザー”が乗り越えた「選手生命にかかわる危機と心の闇」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph bySANKEI SHIMBUN

posted2025/10/15 11:03

「もう一軍で投げられないかも…」DeNA森原康平33歳がついにCSで復活! “微笑みのクローザー”が乗り越えた「選手生命にかかわる危機と心の闇」<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

CSファーストステージ、ついに「リードした9回」に“微笑みのクローザー”が戻ってきた。今季の森原康平を襲っていた長い苦難とは?

本当に前みたいに投げられるのかな

「(怪我の)状況を考えると、これ本当に前みたいに投げられるのかなって思いましたし、戻せる自信が全然なかったんですよ。もう以前のように投げられないかもしれない。もう一軍でプレーすることはないかもしれないと不安な時期を過ごしていたんです」

 この時期、森原の書籍制作のために頻繁に顔を合わせていたが、一切そのような弱気な発言やそぶりを見せることはなかった。常に気丈に振る舞っていたが、心の中には押しつぶされそうな闇を抱えていた。

「そこで何とか春のキャンプから少しずつ投げ始めて、シーズンが開幕してファームではマウンドに立つことができ、制球力だけでとりあえず抑えることはできていたんです。ただ、全然自分のボールじゃないなって感じていたし、やっぱりもう前みたいには投げられないんじゃないかって」

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 パフォーマンスを上げていったからこそわかる現実。生半可なピッチングで通用する場所ではないことは森原が一番わかっていた。

一軍復帰も甘くなかった現実

 そんな折、4月17日に森原は一軍に昇格した。チームはスタートダッシュに失敗し、ブルペンに厚みを持たせなければいけない状況になっていた。森原自身、まだ本調子でないことは理解していたが、上から呼ばれて行くことに加え、一軍で投げなければという焦りも多少なりともあった。正直、不安材料はあったが、一軍という慣れた環境でトレーニングし、ルーティンを守り、強度の高いマウンドを経験することでビルドアップできればいいと考えていた。

 しかし現実はそんな甘いものではなかった。森原は6試合に投げ、防御率7.50と打ち込まれ、5月11日に登録抹消された。思い描くボールが“刺さる”ことはほとんどなかった。

 このとき森原は、より強い危機感を持った——。

2回目につづく

#2に続く
「信頼してくれた三浦大輔監督の最後の舞台で」DeNA森原康平が誓う“最高の結果”へ…故障との戦いで得た知見「歳をとるのも悪くないな」

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