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「藍がいて、セキさんがいる安心感」リベロ小川智大(29歳)が明かす“王者サントリー移籍”の理由…ミドル小野寺も期待する“小川効果”とは?
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田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuki Suenaga
posted2025/10/10 11:00
SVリーグ初代王者サントリーサンバーズ大阪に加入した日本代表の小川智大(29歳)。欧州王者ペルージャとの親善試合でも好レシーブを見せた
リベロ小川がチームにもたらす武器は何か――。
日本代表で共にプレーするミドルブロッカーの小野寺太志は、派手なプレーばかりでなく、目立たぬ貢献こそが小川の真髄だと期待を寄せる。
「一番目立つのはディグだと思うんですけど、攻撃に入る側からすればレセプションを常に一定のテンポで返してくれるので、彼がレシーブする時はこのタイミングで入ればいいというのがすごくよく見える。自分が動いてレシーブするのももちろんですけど、たとえば相手のショートサーブを僕にどこまで取ってほしいかという位置や、横で一緒にレセプションに入るアウトサイドの選手への指示。代表でもやっている藍は別として、(デ・アルマス)アラインや(イゴール・)クリュカとはまだ関係性がつくれていない中でも、試合になればちゃんと指示を出せる。彼がいるとチームが落ち着くし、攻撃全体の流れをつくってくれるのが小川です」
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前身のVリーグからふまえると連覇を達成しているサントリーは、豊富なタレントを擁することはさることながら、組織力があったからこそ頂点に立ってきた。そこに日本代表として世界と対峙し、高評価を受けてきた小川が加入したことで、サーブレシーブからの攻撃が安定し、これまで以上の強みが発揮できると小野寺は続ける。
「昨年は覚えていないですけど、2023/24シーズンのサーブレシーブ返球率はリーグで最下位でした(昨季は10チーム中8位)。それでも優勝できましたけど、振り返ればレシーブが崩れた苦しい状況でも(ドミトリー・)ムセルスキーに上げて、ブレイクを取って勝ってきた。攻撃の完成度という面で見れば、トモ(小川)が入ってセキさんが入った今季は純粋に決定率も効果率も上がる。間違いなくいいアクセントにはなると思います」
改善点が見えた“祐希さんのサーブ”
7日のペルージャ戦ではこんなシーンもあった。セットカウント1対1で迎えた第3セットのラスト、24対25でペルージャ石川祐希のサーブにエースを献上した場面。チームの改善点を小川は的確に分析する。
「祐希さんのサーブが1(ネットを正面にしてコート後方右側のゾーンを指す)に打たれることが多かったので、『打つ瞬間まで動かずステイだよ』と周りに言っていたし、アウトサイドの選手に右の前で取ってほしかったんですけど、AJ(アライン)が打たれる前に動いちゃった。それを見た祐希さんが逆ゾーンに打ってきた。祐希さんがどこにも打てる選手なのは知っていますけど、代表の時よりもいいサーブを打たれてやられました(笑)」


