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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「なぜこの選手をこんなに使うのかと思っていましたが…」前楽天監督・今江敏晃が語る“新庄ファイターズ”4年目の結実「まさに飛躍、驚いた2人の選手」
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/10/10 11:03
短期決戦で“新庄マジック”が炸裂するか
「優勝なんか目指さない」1年目に蒔いた種
競争という意味では、野手もレベルの高い争いを演じた。清宮幸太郎や万波中正といった主力選手も打順は固定されておらず、清宮は1番から8番まで、万波は1番から9番まで全ての打順で先発した。
「万波選手なんかは本来、他チームにいたらシーズンを通して主軸でレギュラーを張れる選手です。そんな主力でもあっさりとスタメンを外したり、9番を打たせたりする。本人も常に危機感を持ち続けているでしょうし、他の選手はチャンスを掴もうと必死にプレーできる。それも新庄監督が就任して2年間、まんべんなく選手を使って経験を積ませたことで、全体的な選手層の底上げができたという証だと思います」
就任当初の「優勝なんか目指しません」という発言は賛否両論を呼んだが、故障者を除いた全選手を一軍で起用するという“公約”を果たし、蒔いた種が3年後にしっかり花開いた形だ。それもこれも、監督の意向のみならずフロントが一体となってバックアップして、最初の2年間を「育成期間」に振り切れたことが大きかっただろう。
二軍コーチ時代に見ていたあの選手が…
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「間違いないです。普通ならば『優勝を目指さない』なんていう発言はできないものですが、前提として日本ハムの球団全体としての方針もあったと思う。目先の勝利よりも、選手を育成して経験を積ませる期間を設けられたというのは、凄く大きかったですよね」
今江さんは2021年から23年途中まで、楽天の二軍コーチをつとめた。同じイースタン・リーグの日本ハム二軍ともよく対戦していたが、その中にいた若手選手が大きく成長を遂げる姿には感嘆したという。その筆頭が、昨季ブレークし今季はチーム最多の64試合で先発マスクを被った田宮裕涼だ。


