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「自分が間違ってるかもしれない」“プロでほぼ実績なし”Jクラブ監督がホンネで語る3年連続昇格の真相「ペップも人を大事にしますよね」
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byTsutomu Kishimoto
posted2025/09/29 17:01
試合中、ウタカを激励する今矢監督
「最後の試合(ブリオベッカ浦安戦)もやり切って負けたんです。引き分けでも昇格できたのですが、コロナで8人ぐらい欠場するなど……それも含めて勝負事の怖さ、勝ちに持っていけなかった自分の力の無さを感じました。ただ、自分たちのやるべきことをやったうえで通用しなかったという思いはあります」
――天皇杯2回戦の川崎フロンターレ戦はその次の年です(2023年6月7日、川崎3-1栃木C)。J1のトップチームを相手にも自分たちのやり方を曲げないというのはよく見えました。
「臆することなくプレーするのはできました」
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――1年目と2年目では選手を入れ替えたのでしょうか。
「3分の1は入れ替えたんじゃないですかね」
――目指すサッカーに必要な選手を揃えるのは監督として当然の仕事で、それをしないとチームの構築はできない。
「それは間違いないです。より自分のサッカーを表現しやすく、ポジションの合致した選手……契約の関係でクラブに残る選手もいますが、年数が経てば、入れ替わりは出てくると思います」
監督のプレーモデル×クラブの基準=補強の精度
――少し上のカテゴリーを見て、あたりをつけた選手を自身でリストアップして入れたのでしょうか。
「1年ごとにこんな選手が欲しいというプレーモデルは、ポジションごとに作って強化部にも社長にも渡しています。大栗崇司社長はサッカーをよく理解しています。むしろ彼から『こういう選手が合うんじゃないか』と意見を受けることもある。またJFLを目指す戦いの中で、対戦相手に面白い選手がいると――藤原拓海や平岡将豪がそうですが――スタッフや社長とのディスカッションのなかで挙げていきます。ポジションに何を求めるか、どんな選手を獲りに行くかもハッキリしています。クラブの基準と、監督としての要求は、しっかり持たないといけないので」
――その辺はマリノスのやり方やマンチェスター・シティのメソッドは参考になりましたか?
「もともと僕が持っていた部分ではあります。早稲田のときからそれなりにやっていましたし、オーストラリアのA級ライセンスを受けたときにも求められて、レポートとして提出しました。もちろんマリノスからもいい影響を受けています。
Jクラブの強化担当と話したときに、そういう要求・基準を持っていないクラブが意外と多かったんです。だから自分独自のものを作れば、他とは違うものを作れるのではないかと思いました。そして、いい選手だけどチームに合うのかという判断の迷いがなくなった。だから社長も強化部も『いい選手だけど今矢君のサッカーじゃないんだよね』となりますし(笑)。そうなると余計なお金を使わずに済みますから」
環境が8、戦術が2…勝つチームに必要な“人”の力
――話を聞く限り、社長がオーナー目線、経営者目線でしっかりと見ているように感じられます。
